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黄 立翰 さん

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黄 立翰さん  (台湾出身) 
(東京大学大学院 農学生命科学研究科博士課程) 


サトウキビ農業の自動化  レーザーで選別、特許申請中

――研究内容について
  現在大学院の生物機械工学研究室に所属し、動力機械を使った農業の自動化について研究しています。ロボットを使って大自然の産物を扱うという点では、工業工学にはない難しさがあります。植物の個体差に微妙に対応する機能が必要となるのです。機械と生物の間をいかに縮めるかが研究の課題です。
  私の専門はサトウキビ農業ですが、その背景には鹿児島県徳之島の製糖工場の問題があります。一般的にサトウキビの下部は砂糖の原料となるのですが、梢頭部と呼ばれる緑色の上部は糖の含有率が少なく、でんぷんがショ糖の結晶化を阻害するため原料として使えません。また繊維ばかりなので、圧搾機械が摩耗するなどの悪影響ももたらします。ですから製糖に入る前に梢頭部を分別してしまわなければなりません。米国では台風があまりなくサトウキビの高さがほとんど一定にそろっていますので、収穫の前にカッターでまとめて梢頭部を切り落とすことができます。しかし日本や台湾など、台風でサトウキビが倒れて湾曲する地域ではその方法が使えません。徳之島では工場の方々が手作業で梢頭部を選び出すという、あまり効率の良くない方法をとっています。梢頭部の重さや形は原料部分と非常に似ていますので、分別しきれなかった梢頭部がそのまま圧搾作業に入ってしまうのです。このような現状を踏まえ、私の研究では、自動的に梢頭部を除去できる方法や装置を開発しています。
  具体的にはレーザーを使ってサトウキビの表面を走査するというもので、先日ASAE(米農業工学会)でその内容を発表したところです。梢頭部の表面はざらざらしているため光は乱反射しますが、原料茎の表面は滑らかですので光はきれいに反射します。この返ってくる光の強さによって見分けがつきます。ベルトコンベヤーにサトウキビを流し、2センチずつ走査しデータを取れば、必ず原料茎と梢頭部に特有のデータが得られます。洗っていない状態での正答率は8割でしたが、実際には圧搾工程に入る前に水で洗っていますので正答率はさらに上がると思われます。これは前例のない方法なので、現在特許を申請しているところです。
  製糖工場の作業員は老人の方が多く、コンベヤーでごちゃ混ぜに流れている中から茎の色のみを目印に取り出しています。休憩している間もコンベヤーは流れ続けています。現場側としては「全体の半分ぐらい分別できるようになればそれで上々」との認識でしたが、もっときちんと分別することができれば工場の生産性も上がり、さらに梢頭部を牛の飼料として活用することもできるのです。この研究が実用化されれば、日本の農業の発展にもつながると思います。

――将来はどうしますか
  就職を希望していますが、母国で教授になることも考えています。台湾では日本留学経験者は大いに必要とされているので、博士号取得に向けて頑張ろうと思います。


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