Top向学新聞>ネパール震災から4ヶ月/大使特別インタビュー



ロゴ【ネパール震災から4ヶ月】

在日本ネパール国大使館 特命全権大使
マダン クマール バッタライ氏


日本中からの支援に感謝

復興は次のステップに 観光業に投資を


日本からネパールへの支援


画像の説明


 まず、今回の震災において日本は緊急援助隊、医療チーム、自衛隊の派遣などあらゆる支援をして下さいました。6月末にネパールで震災復興に関する世界会議を開催し、世界各国のトップレベルの方々が参加するなかで、日本からも城内外務副大臣、JICAの田中理事長などが参加してくださりネパールの将来に向けて大きな励みになりました。
 
 当大使館においても義捐金の募集を行なっており、日本中の多くの方から支援を頂きました。世界中のネパール大使館でも同様に義捐金の募集を行っておりますが、総額の3割
(約5・5億円または約450万USドル)が日本からの義捐金という結果を生み大変感謝しております。

復興状況


 現在の復興状況は、地震直後の医療ケアや家を失くした方へのテントの提供といった段階から、仮設住宅の提供・管理という次のステップに移行しています。現在モンスーンシーズンが続いて雨が多く、雨季が終わる9月以降から本格的な再建が始まります。土砂崩れなどで村ごと失ってしまった村の人たちには帰る場所がなく、違う土地で新しい村作りからスタートしなければなりません。報道などで見落とされがちな問題が、家畜などの動物が5万頭以上損失してしまったことです。全体的な復興計画のなかに、家畜をどう位置づけるのかも考えなければいけません。
 
 また、家族や親族を失った人たちへのメンタルケアも必要です。ですが、ネパールの国民は明るく前向きな性格と家を大切にする文化から、親を失くした子供達を親戚が気兼ねなく受け入れています。あまり自分達を苦しい方向に追い込まず、家族で助け合いながら生活する国民性がいい作用を及ぼしています。

観光業の今


 ネパールにとって観光は大変重要な産業ですが、地震の影響で旅行が規制されてしまい観光客が激減しました。しかし、7月から旅行規制が緩和され始め、人々が段々とネパールに戻ってきています。ネパールの安全性を確かめるべく旅行会社が現地調査を行なった結果、ほとんどのトレッキング(山歩き)ロードで安全が確認され、世界遺産も一部を除いて既に開放されています。こういう時だからこそ、日本の皆様に観光という形で支援して頂ければ有難く思います。
 
 特に山岳を通してネパールと日本はかけがえの無い関係を構築してきました。最年長のエベレスト登頂記録を2回も更新したのが三浦雄一郎さん、あるいは世界で最初にエベレストを登頂した女性が田部井淳子さんです。田部井さんは私がジャーナリスト時代に初めて取材した日本人でとても印象的です。
 
 今後は「復興支援」という形だけではなく、新しく作り直されていくネパールの観光分野に投資して頂くことが日本の企業にとっても有益だろうと考えています。観光分野だけではなく農業、鉱山、水力発電など日本が必要としているものがネパールにあり、観光分野以外にも目を向けて頂ければ嬉しく思います。

ネパールがひとつに

 
 私が日本に赴任して3年9ヶ月になります。丁度東日本大震災が起こった年で、日本全体が不安定な時期を過ごしていました。一方で、世界中から日本に支援が寄せられ、日本という国が国際社会とどれほど深い繋がりがあるのかを再発見したきっかけになったとも考えています。
 
 同様なことがネパールでも見てとることができます。ネパール国内にはこれまで防災意識が全くなかったため、震災への対応が大変遅れてしまいました。そして現在はモンスーンで復興が進まないというもどかしい状態が続いています。しかしそれでも世界中から支援が集まり続けています。従来ネパールの国民性は楽観的で、世界や国からの支援に頼りがちで個々人の主体性が弱いという好ましくない面もありましたが、今回の危機を契機に「これではいけない」という意識が初めて芽生えだしたのです。その象徴的な出来事として、これまで長い間政党間の対立で宙に浮いた状態だった新憲法の成立が動き始めました。地震によってネパールがひとつになりだしたのです。

日本について 


 大使として日本に赴任し、多くの日本人と接してきましたが、真面目に努力する国民性、安全面、住みやすさなど日本は間違いなく世界で最高の国の一つです。印象深いのは2011年11月29日に来日し、12月15日に皇居で大使就任式に臨みました。まず、来日2週間で就任式があったこと自体他国ではありえません。そして当時、天皇陛下は体調を崩されており、その後には手術を控えておられる状態でした。しかし、数ヵ月後の東日本大震災一周年のセレモニーで手術を終えた天皇陛下を再び拝見した際、その精力的なお姿に大変感動致しました。このような日本とネパールがより友好的な関係を構築できるよう留学生の交換や姉妹都市提携など人的交流がさらに増えていくよう願ってやみません。


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1954年12月1日生まれ。ネパール・カトマンズ出身。ジャダプール大学(コルカタ)哲学、文学、国際関係修士過程修了。1975~77年ライジング・ネパール(英字新聞)編集者。1977~78年公務員試験に主席で合格しネパール外務省勤務。以後、外務省南アジア局長、在ニューデリー・ネパール大使館副長、駐ドイツネパール大使、ネパール外務省・国連および国際機関担当広報官、ネパール外務次官等を歴任。2011年からネパール大使として日本に赴任。家族は妻、息子、娘。
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<ネパール大地震>

ネパール災害

 2015年4月25日午前11時56分、ネパールの首都カトマンズをマグニチュード7・8の地震が直撃。広範囲にわたって建物が倒壊。公益財団法人日本ユニセフ協会によると、今回の地震で犠牲になった人は約9000人(負傷者は2万人以上)。学ぶ場を失った子供が約100万人(損壊した教室約3万)。※7月26日時点




<ネパール大使館によるネパール大地震義捐金受付案内>


1  銀行名 : 三菱東京UFJ銀行目黒支店
2 支店番号 : 680
3 口座番号 : 0403281
4 口座種類 : 普通
5 口座名義 : ネパール大使館Earthquake Fund
        (ネパールタイシカン アースクイクファンド)



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