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トップに聞くグローバル教育の行方

Top向学新聞トップに聞くグローバル教育の行方>吉岡知哉氏(立教大学総長)×佐々木瑞枝氏(武蔵野大学教授)

吉岡知哉氏(立教大学総長)×佐々木瑞枝氏(武蔵野大学教授) 


国際経営学科7割を英語化  
全体の4%、800名が海外留学

 産業能率大学経営管理研究所の調査によると、従業員300名以上の企業(239社)のうち75%以上が、次世代リーダーを確保できていないという。海外展開している企業ほどその傾向が顕著だという結果が出た。リーダー育成が不可欠の中、グローバルリーダー育成に力を入れる立教大学の吉岡知哉総長に武蔵野大学の佐々木瑞枝教授がお話を伺った。


(佐々木) 立教大学はキリスト教に基づく教育ということで、大学自体が「国際的」なイメージがありますね。経営学部国際経営学科では、専門科目の7割が英語で行われているということですが、どんな学生を育てたいと思っていらっしゃるのでしょうか。

(吉岡) 現代社会において、国際的なリーダーシップ、マネージメント能力の育成は欠かせません。経営学部国際経営学科では、NHKなどでも活躍し、英語教育の中心的人物である松本茂先生が専任教員として英語教育のスキームを作っています。そして、外国人教員が3割を占め、英語を駆使してリーダーシップを発揮できる人材を育成しています。

(佐々木) 国際舞台でのリーダーシップは日本人が身につけなければいけない大事な能力ですね。立教大学の優秀な教員の存在が大学や学部の価値を高めていると感じます。

(吉岡) 学生が自分達の先生はすごいのだと感じることが重要で、各分野でトップの教員を揃えるよう努めています。研究だけではなく、教育や大学の雰囲気作りにも良い影響を与えるからです。

(佐々木) 英語教育という面で、全学的にはどのような授業を展開されているのですか。

(吉岡)1年生を対象に、英語でのディスカッション授業を行っています。外国人教員の下、8人程の少人数で授業を進めています。英語力の向上もそうですが、英語で上手く話せないことがあっても、お互いの考えを想像し理解しようとすることで、コミュニケーション能力を伸ばすことができます。

(佐々木) 英語で考え相手の意見を聞き、議論を深めていくこと、英語でのディスカッションは簡単なようで、日本人が最も不得意とするところだと思います。ですから、1年生からディスカッションの訓練を実施することは重要だと思います。ところで、立教大学の学生の視点は「外を向いている」と感じます。

(吉岡)本学は海外体験をする学生が多いと思います。例えば、異文化コミュニケーション学部では、約4カ月間の海外留学を学部生全員に必修化しています。留学先はアメリカ、イギリス、カナダ、韓国、スペイン、中国など12カ国に及びます。国際経営学科でもほとんどの学生が海外留学しています。その結果、1年間の留学者数は約800人で、全体に占める割合は約4%になります。1%を切る大学も多い中、着実に成果を出しています。海外留学は語学の習得に関心が向きがちですが、どのように人生の可能性を広げていくのかを考える機会にしてほしいと願っています。

(佐々木) 世界に出ることで人生観が変わる学生は多いですよね。私も海外で学会があると学生を連れていきます。海外の教員と接することで、堂々と世界の人達と渡りあっていける人材に育ってほしいと願っているからです。

(吉岡)そうですね。2年前にドイツ・ベルリンで開催されたビジネスコンテストに国際経営学科の学生が参加したのですが、このような海外での発表の場を多く提供しています。海外で議論を経験した学生の自己表現能力や相手の話を理解する力は、急激に成長します。グローバル化時代では、このように大学が学生を育てるという視点が非常に重要だと思います。私も学生と様々なテーマで対談する「ヨシオカフェ」という活動を通して直接思いを伝えています。

(佐々木) 素晴らしい取り組みですね。立教大学からどのようなグローバルリーダーが巣立ってほしいと思われますか。

(吉岡)本学にはキリスト教に基づく「共生」の理念が伝統的にあります。組織のトップに立つ人物も重要ですが、奉仕活動などで人々と一緒に活動し苦しみを分かち合う姿勢を育むことができればと思っています。本学もボランティア活動に積極的に取り組んでおり、東日本大震災後は日本人学生だけではなく、外国人留学生も一緒に被災地に足を運んでボランティア活動を実施しています。

(佐々木) 若者の心の空洞化という問題が指摘されていますが、キリスト教精神を活かした教育で学生の内面を育てているのですね。

(吉岡)行動に対する対価を必要とする交換の世界には限界があります。ですが、人間にとって無償でアクションを起こす、人のために何かをすることは楽しいことだと思うのです。

(佐々木) 奉仕の精神を通して幸福感を養っていける大学なのですね。非常に感銘を受けました。ありがとうございました。
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よしおか ともや 1953年東京都生まれ。東京大学法学部卒業。法学博士。1980年4月立教大学法学部助手に着任。同講師、助教授、教授を経て、2010年4月立教大学第19代総長。



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