IFSAは外国人留学生のための様々な情報提供、就職・転職支援(日本人海外経験者含む)までを行う非営利団体です。

トップに聞くグローバル教育の行方

Top向学新聞トップに聞くグローバル教育の行方>川口清史氏(立命館大学長)×佐々木瑞枝氏(金沢工業大学客員教授)

川口清史氏(立命館大学長)         
 ×佐々木瑞枝氏(金沢工業大学客員教授)
 


多文化協同人材の育成へ  
豪州最高峰の大学と共同学士課程開設

画像の説明;

画像の説明;

 西日本で強い存在感を放つ立命館大学。30年以上前から本格的にグローバル化に取り組む同大学は、今年スーパーグローバル大学に選定され、改革の勢いを更に加速させる。今回は立命館大学の川口清史学長に金沢工業大学の佐々木瑞枝客員教授がお話を伺った。


(佐々木) 立命館大学といえば「関西の雄」として積極的に大学改革を行なっていらっしゃいますよね。現在はどのような取り組みに挑戦されているのでしょうか。

(川口) 9月末に文部科学省の新規事業であるスーパーグローバル大学(SGU)採択校が発表され、幸いそのうちの1校に選定されました。本学は1980年代から本格的にグローバル化を進め、西日本初の国際関係学部の開設、カナダトップレベルのブリティッシュコロンビア大学とのジョイント・プログラムや、アメリカン大学とのデュアルディグリー制度(2大学の学位を取得)などを20年にわたって行なっています。修了生たちは文部科学省・キャリア官僚や、楽天・執行役員など、多くが国内外で活躍しています。
 近年ではグローバル30に採択され、学部段階での英語コースの設置や留学生の受け入れ拡大等を通じ、グローバル化へ大きな飛躍を遂げました。しかし、SGUとして目指す姿は個別プログラムの開発次元ではなく、「10年後の国際社会を見据えて、我々はどのような大学になりたいか」という長期的な目標としての大学像で、新しいグローバル戦略の段階に入ったと感じております。

(佐々木) これまでも、立命館大学はグローバル大学として成長を遂げてきていますが、今後どのような大学を目指しているのでしょうか。

(川口)「グローバル・アジア・コミュニティに貢献する多文化協働人材の育成」をテーマに掲げています。21世紀はアジアの世紀と言われ急激な成長を遂げている最中ですが、単なる経済成長ではなく、アジアが世界にどう寄与できるかを考えるべきだと思っています。「グローバル・アジア」には、本学からアジアを通し世界に貢献できる人材を輩出するという意味を込めています。

(佐々木) 「世界に貢献できる人材」を育成するため、具体的にはどのような改革を行われるのでしょうか。

(川口)まず数値目標として、2030年までに外国人留学生・日本人海外留学経験者数の倍増(それぞれ4500人・3200人へ)、外国人教員などの比率を50%にする目標を設定しています。
 当然これらの数値目標も重要なのですが、それ以上に多文化協働プログラムの質を重視しています。その一環として、豪州最高峰で唯一の国立大学であるオーストラリア国立大学(ANU)との共同学士課程を開設すべく協議を進めています。海外大学との共同学士課程開設は国内初の試みで、ANUにとっても初めての取り組みとなります。理想は1学年200人・英語による教育で、来年4月に開設する大阪いばらきキャンパスで展開できればと考えています。日豪の優れた教育を掛け合わせることで高等教育にイノベーションを起こしたいと考えています。今回の連携には、豪州が学部生をアジア各地域に送り込む新コロンボ計画を実施するなど、国策として学士課程改革を進めていることが背景にあります。

(佐々木) 画期的な取り組みですね!アジア諸国との共同プログラムはあるのでしょうか。

(川口)8000人の規模を擁する理工系のグローバル化戦略にも力を入れていくのですが、例えば、インドトップのインド工科大学ハイデラバード校との連携プログラムもスタートします。本学の理工系学生をインドに送りこみ、例えば水の衛生問題等の課題にインド人学生と共同で取り組みます。インドからも留学生を受け入れる予定です。
 この他にも、既に広東外語外貿大学(中国)、東西大学校(韓国)と本学の学生がそれぞれの国を移動し、学ぶキャンパスアジア・プログラムを展開しています。様々な海外大学と一から共同でプログラムを開発するのは、日本の高等教育の質にブレークスルーを起こしたいからであり、多文化協働にこそその鍵があると考えています。

(佐々木)「多文化恊働」は大学だけではなく、日本社会が目指したいキーワードですね。日本への留学生の受け入れについてはどうでしょうか。

(川口)日本の留学生政策の課題は、大学入学においても就職においても日本語が欠かせないという点です。インドや中東、アセアンといった地域から戦略的に留学生を受け入れるためには、これまでとは違った受け入れスキームが必要です。そのため、大学入学時には日本語力は求めないけれど、卒業時には日本企業に就職できるレベルの日本語力を養成する「ファウンデーション(進学準備)コース」の設置を検討しています。語学以外にも日本と海外では、高校卒業段階の数学・物理等の習得度合いが異なることも課題です。そのギャップを埋めるため、理系基礎科目も盛り込む予定です。
 実は現在、海外から日本へ「理系人材の育成」を期待する声が非常に多いのです。本学も中東のアブダビ首長国から強い要請を受け、現地の高校
に日本語クラスを作りました。海外の日本語クラス→日本留学というルートを確立できるようファウンデーションコース等を活用できればと思います。

(佐々木)それは素晴らしいですね。日本に留学したくてもハードルが高いと感じている学生には大きなチャンスになりますね。大変参考になりました。ありがとうございました。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
かわぐち きよふみ 1945年生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。専門分野は経済学。1976年から立命館大学で助教授、教授等を歴任。2007年から学校法人立命館総長・立命館大学長。



a:1962 t:1 y:0

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional