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向学新聞2025年1月号目次><省庁担当者に聞く>外国人の受け入れ環境整備 外国人労働者雇用労務責任者講習

向学新聞2025年1月号記事より>

省庁担当者に聞く

外国人の受け入れ環境整備 
外国人労働者雇用労務責任者講習



厚生労働省職業安定局 外国人雇用対策課 外国人材受入就労対策室
室長 南摩一隆 氏、室長補佐 山口智也 氏

外国人労働者を常時10名以上雇用する事業者には、「外国人労働者雇用労務責任者」を選任することが努力義務とされている。必要な知識を得る機会を提供し、外国人労働者の働く環境整備の底上げを図るため、全国で講習が実施された。同事業について、厚生労働省の南摩一隆氏、山口智也氏にお話を伺った。(以下、敬称略)

南摩一隆氏、山口智也氏

―同事業がスタートした背景を教えてください。

(南摩)労働力人口が減少傾向にある中、外国人労働者数は200万人を超え、外国人労働者や外国人を雇用する事業所は、コロナ禍を乗り越え増加傾向にあります。このような中、外国人労働者を採用し、職場・地域への定着を図るためには、迎え入れる事業所も関連するルールや制度のほか、言語や文化の違いなどを理解し、外国人特有の事情にも配慮して適正に雇用労務管理を行うことが重要です。

厚生労働省は「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」において、外国人労働者を常時10人以上雇用する事業者は、この指針に定める雇用管理の改善等に関する事項等を管理させるため、「外国人労働者雇用労務責任者」を選任することとしています。一方で、雇用労務責任者が備えておくべき知識やポイント等、これまで情報提供の機会に乏しかったため、令和5年度からの3か年計画のモデル事業として本事業をスタートさせました。昨年度、1年かけて検討委員会において講習内容を議論し、令和6年の3月から12月にかけて、講習を実施しました。

―講習の実施状況を教えてください。
(南摩)令和6年9月までに、全国20都市で計103回実施し、1704名の方に受講していただきました。全体の計画では、40名定員の講習を420回開催する予定です。

―同講習のテキストは、これまで省庁が開発してきた外国人関連の役立つ情報や関連情報の一覧も掲載されていて、とても充実した内容になっています。テキストや講習内容のポイントはどのような点ですか。

(山口)外国人材の受入れに係る課題について、民間団体が実施したアンケート結果をみると、大きく上記の①~③に集約されます。事業主の方が課題に感じている点を柱に構成しています。

(南摩)事業主の方が直面している課題等について、専門的知識を有する委員の知恵をお借りしながら作成しました。在留資格制度や様々な手続きについての理解を深めていく中で、基本部分を押さえていただければと思います。

―参加者アンケートではどのような声が寄せられていますか。
(南摩)テキストが充実している、という声を多くいただきました。また、「このような役立つツールがあると知らなかった」という声も多く、省庁が作っているものがあまり知られていない、ということを改めて痛感しました。情報を必要としている方に、どのようにその情報を届けるかは、引き続き課題だと感じています。
(山口)今後は、令和6年の実施結果などを踏まえて内容をブラッシュアップし、令和7年4月~12月に講習を実施する予定です。対面形式の開催に加えて、オンライン開催も始める予定です。

―どのような気づきがありましたか。

(山口)特に「異文化理解とコミュニケーション配慮」では、気づきや再認識させられる点が多かったです。外国人が働きやすいところは、日本人も働きやすい環境だと感じました。相手が理解しやすい指示、相談しやすい雰囲気は大切ですね。

(南摩)労働力人口が減少傾向にある日本にとって、いかに選ばれる国になるかは大変重要な問題だと思います。国際的に人材獲得競争も生じる中で、日本で働きたいと思う外国人が安心して働くことができる職場環境を整えることは大切です。外国人労働者が自発的に継続就労を希望するような魅力ある事業所を増やしていくためにも、今回取り上げていただいた外国人労働者雇用労務責任者講習モデル事業など必要な施策を進めていきたいと思います。


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