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向学新聞2025年4月号目次>不法残留者7万4000人 制度整備と適正な在留管理
<向学新聞2025年4月号記事より>
不法残留者7万4000人 制度整備と適正な在留管理
入管庁は、令和7年1月1日現在の、不法残留者数を公表した。全体では7万4863人で、昨年同日時点に比べて4230人(5・4%)減少した。 不法残留者数は、平成5年のピーク時は約30万人だったが、平成16年から20年に「不法滞在者5年半減計画」に基づく出国命令制度や在留カードの制度(平成24年施行)等の施策により減少していき、平成26年には約6万人と、ピーク時の5分の1に減少した。
直近10年の不法残留者数は、6万~8万人台で推移しているが、分母となる在留外国人数が増加しているため、全体に対する割合は低くなっており、最新の統計では約2%ほどだ。
在留資格別不法残留者の構成比は図2の通りで、旅行者などに付与される在留資格「短期滞在」が最も多い。
入管庁の担当者は、「引き続き、iAPI(相互事前旅客情報システム)の運用整備や、厳格な審査による水際対策を行うとともに、不法残留者については警察など関係省庁とも連携し適正な在留管理に努める」と話す。
また、実習先から失踪して不法残留となる技能実習生について、「来日時に多くの手数料を払った人ほど、失踪につながりやすいという相関関係が判明している。現在制度設計が進められている『育成就労制度』では、来日時に支払う手数料の負担軽減も盛り込まれる方向で、制度を整えることで不法残留者を減らしていきたい」と話す。
在留資格「留学」の不法残留者は2245人で、ここ数年は2000人台が続いている。比率は小さいものの、2024年には312人の留学生が在留資格取り消しの処分を受けている。また、在留資格取り消しにならずとも、就職先が決まって「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への切り替え時に、オーバーワークが判明して申請が不許可となるケースも多い。
在留資格は、外国人が日本で生活し活躍するための重要な足場だ。在留資格に関する制度について「知らなかった」が故に違反を犯すことがないように、外国人本人が正しく理解することはもちろん、省庁や所属機関からの周知徹底が必要不可欠だ。日本にとっても、外国人の増加に伴い、適正な在留管理の重要性が高まっている。
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