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<向学新聞2025年7月号記事より>
秩序ある共生社会に向けて
外国人受入れ・共生のための総合的対応策の今年度改訂の内容には、外国人が日本のルールを守ることや在留資格の審査の厳格化などが盛り込まれた。加速する外国人の受入れについて、現状把握と制度見直しの時を迎えている。

6月6日に実施された外国人受入れ・共生に関する関係閣僚会議にて、鈴木馨祐法務大臣は、外国人受入れの在り方について持つべき視点について、外国人材は我が国経済の維持・発展に不可欠で期待される存在であるという前置きとともに、「急激な増加や集住・偏在により地域に与える不安や負担など受入れの課題に関し、長期的・多角的視点で向き合う必要がある」「国内労働市場、社会保障、教育、治安等にどの程度の影響を及ぼすかなどの観点から検討も必要。どのような人をどの程度受入れていくことが適当か、最適解の追求、課題解決のための調整機能を有する組織の在り方の検討も必要」と話した。入管庁としては、受入れの在り方の検討について7月ころに論点を整理し、それをもとに政府一体で検討を進める予定だ。
同会議で石破首相は、昨今の就労者や観光客など外国人の増加に伴って、犯罪や迷惑行為、制度の不適切な利用が問題視されて、一部国民の不安が高まっていることに触れ、「外国人の人権に配慮し必要な支援を行うのは当然だが、ルールを守らない方々には厳格に対応する。現在の制度が国民の不安を払拭できないのであれば果断に見直しを行うことも必要」と述べた。政府横断的な取組方針策定も見据え、内閣官房に事務組織が設立される予定だ。6月13日に閣議決定された骨太の方針にも「外国人との秩序ある共生社会の実現」の項目が盛り込まれた。
外国人の増加は、期待されるような好事例も生じれば、そうではない事例も発生する。マイナス事例が生じれば、国民が不安を感じたり、そこからルールを守っている外国人にまで、良くないレッテルが貼られることになりかねない。国籍の多様化など、外国人受入れに関する動向は、近年特に動きが早い。また、ネット社会での国ごとのコミュニティも急速に発達している。制度設計について丁寧な議論を進めると共に、動き出した制度の下でどのようなことが起きているのかを、点検・把握し、適宜見直しや修正をしていく必要がさらに高まっている。
一方で、外国人に関するマイナス事例の情報ばかりが多く広がると、極端に偏った意見や感情を誘発する可能性もある。実際に外国人と接したことがない人にとっては、メディアから入ってくる情報だけが判断材料となるからだ。今の日本社会の様々な業界を支えている外国人材が、労働力としてだけではなく、働く現場や地域の活性化に貢献しているたくさんの好事例がある。海外を目指す日本の若者が少ない中で、海外からくる外国人材は、日本人が日本にいながら世界のことを知られる機会をもたらす。そのような事例も広く共有されることや、日本人が具体的に外国人と接点を持つ機会も必要だろう。様々な角度からの客観的な情報を基に「現状を正しく知る」ことによる、正しい判断がなされていくことを期待したい。
国民の理解という点では、実質的には移民を受入れながらも、「移民政策はとらない」とする政府の姿勢を疑問視する声や、外国人基本法の必要性を指摘する声も多数ある。日本の将来像に大きく影響する重要な舵取りが、必要な議論の上、相応しい方向に向かうことが願われる。
写真出典:「総理の一日」(首相官邸ホームページ)(一部加工して作成)
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