TOP>向学新聞>日本で働く元留学生たち>Pariyar Arjun さん
向学新聞2025年7月号目次>日本で働く元留学生たち Pariyar Arjun さん

<向学新聞2025年7月記事より>
日本で働く元留学生たち
Pariyar Arjun さん
(ネパール出身)
楽天シンフォニー株式会社
規律、敬意、共同体意識 失敗を恐れず挑戦
ー日本に留学したきっかけや来日した時のことを教えてください。
私はネパールで、IT系の学士を取りました。その後、よりテクノロジーが発達している国に留学に行きたいと思うようになりました。留学先として、アメリカやオーストラリアも考えましたが、比較的留学に必要な経費が安く、また安全な国なので、日本を選びました。
日本語学校には通わず、京都情報大学院大学に入学しました。そこには、英語でITを学べるコースがあったからです。 初めて日本に来た時は、とてもワクワクしていました。新しい環境、新しい友達、様々なことが刺激的に感じました。
ー先進諸国の中でも、日本はあまり英語が通じない国です。日本での生活で困ったことはありませんでしたか。

困ったことはたくさんありました。私は日本語をあまり話せなかったので、買い物をする時に商品を見つけることも難しかったです。友達がけがをした時に、私が病院に連れて行ったのですが、状況を伝えることが難しかったです。その時は翻訳アプリを使いながら、問診票のようなものを記入して、なんとか治療を受けることができました。
言語の壁の他にも、日本人の考え方や接し方に慣れることも、時間がかかりました。例えば、私は「これは間違っている、これが正しいやり方です」と、はっきり教えてほしいと考えていました。しかし、多くの日本人は、気を遣って間違いか正しいかをあまり教えてくれません。ですから私は、よく分からない時はすぐにインターネットで検索をしていました。例えば「なぜ日本人は、電車で外国人と距離をとるのか」と検索すると、「日本人はマナーとして電車では静かにすることを好む」と分かりました。ネパールの都市部は賑やかな場所が多く、電車の中でも会話の声で賑やかです。電車等、場所に応じて静かにすることは、日本人が大切にしている考え方であることを理解しながら、少しずつ慣れていきました。
私の場合はまずはネットで調べて、それで分からないことは人に聞いて、一つ一つ解決していきましたが、内向的な性格だったり、調べる習慣がない人は、文化のギャップがある日本に慣れるには、とても多くの時間がかかると思います。
ー大学や自治体のサポート体制はいかがでしたか。
大学院では、英語でITについての勉強をしましたが、無料の日本語の講座もありました。教授も学生も様々な国籍の人がいて、プロジェクトチームで学んだり、とても勉強になりました。毎週金曜日に就職のための講座もありました。しかし、短い2年間で、ITの勉強と日本語力を向上させることは時間が足りないと感じました。
自治体の相談窓口もありましたが、平日の昼間は授業があるため、あまり利用できませんでした。平日の昼間以外で、基礎的な日本語を学べる機会や、日本での生活について教えてくれる人がいたらもっと心強かったと思います。
ー就職活動はどのように行いましたか。
私はソフトウエアエンジニアになることが目標だったので、そのような求人を探して何十社も応募をしました。私がやりたいと思う仕事では、日本語能力とフルタイムでの実務経験の二つの面が不足していました。日本での生活は、英語ができても日本語が話せないと難しいことが多いと感じていましたが、それは、仕事をする上でも同じなのだと痛感しました。何社も不合格が続いたため、勤務地を日本全国に広げてLinked Inやナビサイトで、仕事を探しました。また、実務経験を必要とされないポジションにも範囲を広げて探していたところ、東京勤務のジュニアポジションが見つかり、応募しました。そこが、今働いている会社です。
ー働き始めてからは、どのようなことを感じていますか。
最初の1年は覚えることが多く大変でしたが、3年たった今ではとても充実していると感じます。周りには優秀なソフトウエアエンジニアがたくさんいるので、仕事の進め方やフレームワークやプログラミング言語など、多くのことを学びます。マネージャーが、経験がない私のこともサポートしてくれましたし、楽天は多様なバックグラウンドの社員がいますから、働きやすい環境だと思います。
ー次の目標や夢を教えてください。
近くの目標としては、ソフトウエアエンジニアとしてのスキルをよりレベルアップし、専門家レベルのエンジニアになることを目指しています。また、日本語もより上手になるように勉強を続けたいです。
将来は、日本とネパールの両国でIT企業を経営し、両国の発展に貢献したいと考えています。そのための独学もすでに始めています。
ー日本で働きたい留学生にはどのようなことを伝えたいですか。
失敗を恐れずに、挑戦することを大切にしてほしいです。日本での生活は、挑戦の機会に満ち溢れています。成功するまでにはすぐに結果が出ないものですが、粘り強く努力を継続することが必要です。
また、時間をかけて日本独自の文化に浸ってみてください。日本を大きく発展させた、日本人の細部へのこだわりやイノベーション、価値観についても、日本にいるからこそ、発見できることがあります。規律、敬意、共同体意識が、大切だといつも感じています。

<聞き手兼通訳>
三ツ谷 寛羽さん
早稲田大学政治経済学部2年
TOP>向学新聞>日本で働く元留学生たち>Pariyar Arjun さん
向学新聞2025年7月号目次>日本で働く元留学生たち Pariyar Arjun さん
a:934 t:2 y:1
