TOP向学新聞>「経営・管理」厳格化
向学新聞2026年1月号目次>「経営・管理」厳格化

向学新聞2026年1月号記事より>

「経営・管理」厳格化

経営・管理

入管庁は昨年10月16日、在留資格「経営・管理」の要件を厳格化した。具体的な変更点は左図のとおり。今回の変更は、日本への移住目的のペーパーカンパニー等、制度悪用の事例がたびたび国会で指摘されたことをうけ、適正な在留管理の一環として実施された。

同在留資格は、起業意欲のある外国人を受入れ、国内の技術革新や成長を促進させる目的で平成27年に創設された。令和7年6月末時点の同在留資格の外国人は4万4760人で、増加傾向にあるものの、外国人全体に対する割合は1・1%と少ない。

近年、国としては外国人の起業活動促進に力を入れており内閣府の国家戦略特区制度での外国人創業活動促進事業(2015年~)、経済産業省主導の外国人起業活動促進事業(2018年~)が進められてきた。政府が出した「スタートアップ育成5か年計画(2022年)」の中でも、海外投資家や起業家との連結が重点課題の一つに含まれており、2023年から新たに「未来創造人材制度(J-Find)」も創設された。

今回の要件厳格化は、日本が歓迎したい有望な外国人起業家たちの日本での起業のハードルを高めることにもなる。資金調達などの支援策や、優れた事業計画や実績があれば資金の要件を緩和するなどの柔軟な審査方法が新たに設けられる可能性はないか、省庁担当者に質問したところ、入管庁の担当者は「今のところ予定はない」と話した。経産省の担当者は「新たな支援策は今のところ検討していない。スタートアップビザの事業の各認定団体の支援を活用してほしい。国として整えている資金調達や起業活動を支援する仕組みがあるので、それらも活用してほしい」と話す。

今回の改正を機に急な帰国を迫られることがないよう、2028年10月までの3年間は経過措置が設けられている。

外国人起業家の声

経産省の外国人起業活動促進事業(スタートアップビザ)に参画する渋谷区では、渋谷Bridge内の一区画を拠点に、外国人のスタートアップを支援している。同拠点を利用しているスタートアップビザホルダーのお二人にお話を伺った。(取材協力:Shibuya Startup Support)

バーバリー・クリスチャンさん

バーバリー・クリスチャンさん
株式会社ハーモニー・ブレイク 代表取締役 (登記手続き中) 
私はイギリスでゲーム開発ソフトのエンジニアとして働いてきました。日本が好きで日本語を学んだりワーキングホリデービザで来日していました。30歳の節目で、日本で起業しようと考え、METIの制度を使い、スタートアップビザ(特定活動44号)を取得して起業に向けた準備をしています。

今回の「経営・管理」の要件厳格化について、とても注目していました。ペーパーカンパニーなど制度悪用を取り締まることは日本にとって必要なことだと感じます。これまでの要件が低かったり、日本語能力を要件に加えていなかった点は、改善の余地があったと思います。

一方で、審査基準を絶対的条件として定めてしまうと、資本金の面や学位の面でクリアできずに、日本での起業をあきらめてしまう人が増えると予想しています。

ペーパーカンパニーを作りにくくすることと、本当に意欲や力がある起業家にはチャンスを与えることを同時にかなえられる制度設計が必要だと思います。私が良いと思う方法は、在留資格「高度人材ポイント制」のように、項目ごとにポイント化して総合的な観点で審査する方法です。

ハーフ・ラモンさん

ハーフ・ラモンさん
株式会社トモビ 創業者/CEO
私は留学で来日し、早稲田大学で学びながら、俳優のためのスクールで演技の勉強をしていました。大学卒業後、昔から興味のあった映画などのエンタメ業界のキャスティングを支える会社を作りたいと考え、ドイツでの起業経験とスキルがある知人と一緒に起業することにしました。日本が好きなので、日本のエンタメ業界を海外とつながりやすくすることで、より良くしていきたいという思いがあります。2025年12月に会社を登記したところです。

今回の在留資格「経営・管理」の要件厳格化は、制度の悪用を防ぐために、必要な措置だと感じています。一方で、学歴や資本金額の基準は、高いハードルだと感じます。ここ(SSS)にきている他のメンバーとも話していますが、開発に回したい資金を、在留資格取得や人件費に使わないといけなくなるため、事業立ち上げが難しくなる、という声が多いです。

もともと日本は、信頼を重視する社会なので、実績や学歴、資金が重視されるのだと思いますが、そこが、スタートアップが生まれづらい要因の一つだったと思います。私が利用しているスタートアップビザは、支援機関による月に1回の面談や様々なサポートがあります。制度悪用を防ぐためには、一定期間、活動実態や事業計画、人物面が信頼できるかなどをチェックできるしくみがあると良いと思います。日本は安全で文化的に魅力的な国ですが、リスクを取ってでも夢を追う人には厳しい環境だと感じます。それでも日本が好きで挑戦したい意欲とアイデアがある外国人はいますから、そうした人を遠ざけてしまわないような、制度設計が必要だと思います。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<広告>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
東京電機大学

向学新聞2026年1月号目次>「経営・管理」厳格化


a:340 t:2 y:2