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向学新聞2026年1月号目次>日本で働く元留学生たち 王 晨  さん

元留学生

向学新聞2026年1月記事より>

日本で働く元留学生たち

王 晨 さん
(中国出身)
株式会社東京スター銀行社
西安工業大学卒、2011年来日、長野国際文化学院卒、関西学院大学大学院商学研究科卒、2015年東京スター銀行入行

家庭もキャリアも大切に

―日本留学のきっかけを教えてください。

中国では、地元にある大学に通っていました。3年生頃に、就職をするか大学院に進学するかを考えていましたが、長野に住んでいる叔父から、日本に留学してはどうかと提案されました。私も一度は海外に出て視野を広げたいと考え、日本に留学することにしました。

最初は叔父さんが住んでいる長野県にある日本語学校に通いました。日本語学校で学びながらアルバイトもして、生活費を自分で稼ぎながら、日本語力を向上させることを頑張りました。焼き肉屋でのアルバイトではスタッフ同士の仲が良くて、そこで学校では習わない日本語をたくさん覚えられました。良い言葉も悪い言葉もありましたが(笑)。みんなでラウンドワンに遊びに行ったことはとても良い思い出です。

王 晨 さん

―その後大学院に進学されたのですね。

はい。縁があり関西学院大学の院に進学することができました。大学では会計の勉強をしていましたが、金融について興味があったので、大学院ではファイナンスについて学びました。大学院の2年間はとても短く感じましたが、中国出身の学生も何人かいたので、すぐに友達ができました。ただ、関西弁に慣れるまでの最初の半年くらいは、先生が話していることがあまり理解できなくて、焦りました。

―就職活動はどうでしたか。

せっかく日本語を学び、日本に留学したので、まずは日本で働きたいと思いました。周りの日本人学生や中国人留学生の動きをみて、みんなと同じタイミングで就職活動を始めました。私は、最初から銀行に入りたいと思っていたので地方銀行ばかりを受けていました。企業の海外進出支援について大学院で勉強していたので、そのような知識を活かせる仕事をしたいと考えていました。

―どのような点で苦労しましたか。

当時は、まだスマホを持っていなくて、情報を集めるためには大学のパソコンで調べるしかありませんでした。情報を集めることや、自己分析の作業、またSPI試験などの時間制限があるテストは苦労しました。東京スター銀行は、ちょうど私が入行する1年前に、台湾のCTBCの傘下に入ったので、この銀行であれば、私の中国語を活かす機会もあるのではないかと思い応募しました。

―王さんの現在の業務を教えてください。
 
今年で入社11年目になります。現在は、法人営業の部署に在籍し、融資の相談などを担当しています。法人営業は、ゼロから学ぶ環境でしたが、部署のメンバーが優しくて、先輩と顧客を訪問して多くを学びました。社内の稟議書があるのですが、この部署に異動して間もないころは、上司の手直しがたくさん入って、赤ペンの訂正で真っ赤でした。丁寧に細かく指摘していただいたからこそ、そこから学べたため、私にはとても良い環境でした。

画像の説明

―ご出産で2回産休・育休を取得されたそうですね。日本で子育てと仕事をしていて、大変な面はありますか。反対に、良かったと感じることはありますか。
 
一番良かったと感じている点は、産休・育休の制度があることと、今の職場が育休をとりやすい社風であることです。中国で働いている同級生と現在も連絡を取っていますが、中国では産休明けに職場復帰する人が多いです。産後3ヶ月から6ヶ月ほどで仕事に復帰しないと、ポジションがなくなってしまうケースが多いからです。それに比べて日本は、育休を1年とっても、希望すればもとのポジションに戻ることができるので、これは女性にとってとてもありがたいことだと感じます。
 
復帰後、私はフルタイムで働いています。忙しい部署なので、最初は育児と仕事の両立がハードで、気持ちに余裕がない時期がありました。私は楽しく育児も仕事もしたいと考えていたので、上司と相談したり、チームのメンバーにも理解してもらえるように自分から困っている点や要望を発信していきました。

風通しの良い社風なので、理解と協力を得られるようになりました。私自身も、限られた勤務時間の中で、優先順位をつけて時間内にやるべき仕事を終わらせられるように、工夫する意識が高まりました。たまに、仕事が終わらなくて業務を続けていると、チームのメンバーから「王さん6時だけど帰らなくていいの?」と声をかけてくれることもあります。チームの理解と協力もあり、定時で帰れることが多いです。仕事と育児の両立の大変さは、外国人だからということではなく、働く母親共通のことですね。

また、東京スター銀行は、外国籍行員が90人(全体の6・4%、2025年9月1日時点)と多く、様々なバックグラウンドのメンバーが働いています。その点でも、私にとっては働きやすい恵まれた環境だと感じています。

―母親業も、マルチタスクを求められますよね。

そうですね。限られた時間で何から優先してやるべきか、同時並行で進められるタスクは何か、頭の中でリスト化して、母親は忙しいですよね。その能力は仕事でも活かされていると感じます。職場でも家庭でも、より良く進めていくために、自分が困っている事や協力してほしいことは自分から発信していく必要性を感じます。そこから改善が進み、仲間意識や協力体制ができていくと感じます。

―これからの目標は何ですか。

私の性格的に、自分のやりたいことを大切にしていきたいですし、仕事を楽しそうにしている姿を子どもに見せることは、子どもにとって良いことだと考えています。子どもに誇りを持ってもらえるような母親になりたいです。出産があると、どうしてもいったんキャリア的には停滞してしまう時期がありますが、子育てから学ぶことがあったり、視野が広まることも多くありますから、それらの経験も活かして、今後の自分のキャリアも考えていきたいです。

具体的には、より専門性が高い仕事にチャレンジしたいと考えています。今は主に日本の法人のお客様への融資などを担当していますが、不動産取引で用いられるノンリコースローンのような、プロジェクトファイナンスについても担当できるように専門性を高めていきたいです。定期的に行われる1ON1の上司との面談でも希望を伝えていて、行内で公募に手を挙げて採用されるように、勉強していきたいと考えています。

―これから日本で働きたいと考えている後輩たちへ、どのようなことを伝えたいですか。

やはり、自己分析が大切だと思います。今はネットに自己分析ができるツールもあるので、そうしたものを活用することもおすすめです。過去の経験や人生での価値観も人それぞれです。自分が軸として大切にしたいことは何か、得意・不得意は何か、やりたい仕事はどのようなものか等のものさしがあった方が、選択に迷う時に自分に合う方向を選べると思います。これは就職活動だけではなく、社会に出てからも必要な事だと感じています。

大変なこともあると思いますが、日本は働きやすい制度や環境づくりに努める会社が増えていると思うので、自分がやりがいを感じながら働ける会社に出会えるように、頑張ってください。


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山口大学大学院

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