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なぜ留学生の方は 国家資格 
もっと目を向けないのでしょう。 


今、一番魅力ある国家資格
「歯科衛生士」


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 神奈川歯科大学は創立108年目を迎える私立の歯科大学だ。2011年からグローバル戦略の一環として留学生受入を開始し、現在は韓国・台湾を中心に常時約140名が在籍する、歯学部としては日本最大の留学生受入校となっている。2017年には東京・北区の東京歯科衛生専門学校(TDH)の事業継承を決定したが、四半世紀にわたり多くの国家資格取得者を世に送り出してきた専門学校を傘下に収めた狙いはどこにあるのか。神奈川歯科大学の鹿島勇理事長を取材した。


就職率は 100%

 

KDU
TDH

 上/神奈川歯科大学キャンパス
(神奈川県横須賀市)
下/東京歯科衛生専門学校キャンパス
(東京都北区滝野川)

 


 「留学生は国家資格である歯科衛生士にもっと注目するべきです」。神奈川歯科大学の鹿島勇理事長はそう力説する。


 歯科衛生士の就職率は非常に高く、東京歯科衛生専門学校(TDH)の就職内定者率は毎年100%を維持している。日本全国の平均では、求職者一人に対する求人倍率は20倍以上にのぼり※、初任給は良い場合25~30万円。しかも夜勤や残業はほとんど無い。国家資格であるため日本のどこでも雇用の機会は豊富で、一度資格を取得しておけば出産後の職場復帰なども容易だ。

※(一社)全国歯科衛生士教育協議会調べ


 「これは留学生にとっては魅力的ではないでしょうか。せっかく日本留学するなら国家資格を取得し歯科衛生士を目指すべきです」。鹿島氏は、日本で最も人材ニーズが大きく、確実に就職できるのが歯科衛生士だと強く訴える。


 本来歯科医師1名に対し歯科衛生士は2名以上必要と言われているが、現実には歯科衛生士が圧倒的に不足している状態だ。


 歯科衛生士の国家試験の合格率は非常に高い。毎年2月下旬~3月上旬に全国10会場で試験が実施されているが、問題はすべてマークシート式で、基本的に養成校の授業で身につけた知識で答えられるものだ。TDHでの過去5年平均の国家試験合格率は97・3%に上っている。


 「就職や長期の経済的安定を考えれば、国家資格を取得するのが最良です。なぜ留学生の方は国家資格にもっと目を向けないのでしょう。養成校にはN1レベルの日本語力と一般的な学力があればだいたいは入学できます。今、一番取り易い国家資格が、歯科衛生士だと思います」。


就職や長期の経済的安定に
国家資格の取得は最良の道



職種創出と海外展開構想


 留学生に広く門戸を開くTDHだが、神奈川歯科大学ではそのTDHのキャンパスを中心に東京にサテライトクリニックを作り、社会ニーズに対応した職種を創発していく構想を持っている。例えば美容師と歯科衛生士、美容師と看護士のダブルライセンスによる新職種や、動物専門の歯科衛生士などの未開拓分野だ。「犬と猫は生まれながら100%歯槽膿漏になる宿命にありますが、動物専門の歯科衛生士がいません。こうした今までにない分野の職種を創発していきます」と鹿島氏は意気込む。


 将来的には東京サテライトクリニックをアセアン地域に展開。海外現地に介護やリハビリの専門学校を作り、気候が温暖な横須賀・浦賀にはハイエンドの介護施設を建設して、人材を海外で教育して呼び寄せる。さらに機能回復士や理学療法士などの学科も新設したい考えだ。「本学の留学生受入はこうしたアセアン展開の拠点作りを見据えた構想の一環であり、布石として位置づけています。日本は18歳人口の減少で労働力を他国に頼らざるを得なくなりますが、そのとき一番頼れるのはアジア地域の人たちです。今からそれを想定しながら社会のニーズに合った教育機関を作っていきたいのです」(鹿島理事長)。


 神奈川歯科大学では歯学部の募集定員110名のうち20名は必ず海外からの留学生を入学させる方針であり、TDHとともにビジョン実現への動きを着実に強化していく。


 神奈川歯科大学では、グローバル人材育成のための国際大学院大学を作る将来構想を持っている。学部を卒業し、研修修了後に大学院に行く留学生を対象に英語で教育を行い、歯学博士とMBAの資格を併せ持つ文理融合人材を育成する。組織マネジメントに携わることができる、高度なグローバル人材の世界的な育成拠点にしていく。
 また、アジア諸国の人材育成の一貫として、ネパールからの給費留学生受け入れも構想中だ。ネパール地震の震源地、ゴルカ郡ラプラック村を描いた『世界で一番美しい村』という映画がある。人口四千人のその村には医者も歯科衛生士もおらず看護婦が一人しかいない。KDUではそういった貧しい生活困難地域の子供を、戻ったら必ずその村で働くという条件の下で授業料・住居費無料で受け入れ、育成する取り組みをNPO法人と連携し行っていこうとしている。
 「お金を支援するのは三流、事業や町を作るのは二流。一流の支援とは、そこで活動する人材を育成して返してあげることでしょう」と鹿島理事長はいう。神奈川歯科大学で教育を受けた人物が現地に根付いて生きていけば、大学のDNAがそこに残る。
 「本学の建学の精神は、生命に対する畏敬の念をもつ、人に優しい歯科医師の育成です。そしてそのための人を識る愛の教育。つまり、親兄弟、隣人、友人、知人、生きとし生けるもの森羅万象に対し慈しみの気持ちをもって接することです」。世界から将来有為な人材を受け入れ、人に優しい医療技術のDNAを身につけた人たちを母国に返す「目に見える国際貢献」に取り組んでいく。

鹿島理事長s


かしま・いさむ 神奈川歯科大学大学院卒。1982年に米国顎顔面放射線専門医を取得。1990年神奈川歯科大学教授。NASAや宇宙開発事業団との共同研究実績を持つ。2009年より現職。




神奈川歯科大学 理事長 鹿島勇氏


東京歯科衛生専門学校s

東京歯科衛生専門学校
(東京都北区滝野川)校舎全景




東京歯科衛生専門学校
〒114-0023東京都北区滝野川1-75-16
TEL:03-3910-7211(代)
http://www.tdh.ac.jp

神奈川歯科大学新附属病院s

神奈川歯科大学 新附属病院
(神奈川県横須賀市)




神奈川歯科大学
〒238-8580神奈川県横須賀市稲岡町82
<教学部>TEL: 046-822-9580
http://www.kdu.ac.jp




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