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「30万人計画」検討開始
(2008年4月号) 


省庁連携で人材獲得推進
中央教育審議会留学生特別委員会

  文部科学省の中央教育審議会大学分科会・留学生特別委員会は、「留学生受け入れ30万人計画」の骨子の検討を始めた。留学生政策を新たな国家戦略ととらえ、従来の「受け入れ」を核としたスタンスから、優秀な人材の「獲得」といったより積極的な視点を盛り込んでいく。激化の一途を辿る世界の留学生獲得競争の中でも現在の5%のシェアを維持すべく、各省庁や地域が一体となった政策展開を目指す。

  留学生特別委員会は、昨年末より発足した中教審制度・教育部会「留学生ワーキンググループ」を、大学分科会直属の特別委員会に改めたもの。2月22日に開いた第一回会議では、「『留学生30万人計画』の骨子」に係わる検討事項案が示された。福田首相が今年1月18日に行った施政方針演説のなかで、「新たに日本への「留学生30万人計画」を策定し、実施に移す」と明言したことを受け検討を進めた。
  30万人という数値目標は、日本の全学生数300万人の1割程度に相当し、非英語圏の先進国であるドイツ(12・3%)、フランス(11・9%)とほぼ同じ割合を達成することを意味する。したがって実現のためには、現在の受け入れ政策の延長としてではなく、人材の積極的な「獲得」へと戦略転換をはかる必要があるとしている。あわせて、学部や大学院修士・博士などの各課程ごと、学問分野ごとに、現状を見極め今後の受け入れ見通しを分析する必要があるとしている。
  達成の期限については、今後20年程度(2025年をめど)という目標を掲げている。一橋大学が文科省から委託を受け行った「留学生の将来予測に関する調査研究」によると、1999年~2007年における在日留学生総数の増加の趨勢線をそのまま引き伸ばした場合、2025年には30万人に達するとの結果が出ている。しかし、これは「決して自然に達成できる数字ではない」とし、「入管制度の抜本的な改定」と「政府予算の増額」が不可欠であると述べている。具体的には、新規渡日者の経費支弁や教育的な資格をチェックする認定機関を設置し、入管の在留審査の方針を「2000年原則」にもどすことや、各省庁・大学・経済界などが一堂に協議する場を設けて一貫した受け入れ体制を築くなどの案を打ち出している。
  この調査報告を踏まえ留学生特別委員会は、30万人を「獲得」するために克服すべき課題を提示した。留学後のビジネスチャンスや適切な入国管理、高等教育機関の世界的な通用性を確保することなどを通じ、受入国としての魅力を向上させる必要があるとしている。また、奨学金・宿舎・就職支援態勢の整備や、様々な面で留学生との格差が指摘されることの多い就学生への配慮など、受け入れ側の課題も指摘している。
  就学ビザを取得し日本語学校等に通う就学生は、通学定期が取得できない、アルバイトの時間も留学生と比べて限られている、国内で受けられる奨学金がほとんどないなど、従来より制度面での格差の問題が指摘されてきた。これについては法務省でも「多方面から意見を受けており、留・就学ビザの一本化を検討すべき事項の一つと考えている」と述べている。自民党留学生等特別委員会をはじめとする各界の意見を参考にしながら、制度面での対応について慎重に検討を進めていく。
  文部科学省は30万人計画の骨子策定について、「日本が人材の「獲得」という言葉を留学生政策で使うのは初めて。今回総理が実施を提唱した以上は、単に教育政策の枠組みにとどまらず、各省横断的な計画になるだろう。就職支援では経済産業省、日本語学校も含めた支援では法務省とも積極的に連携していく」と話している。教育再生会議の後継組織である教育政策懇談会との連携も視野に入れている。