Top向学新聞日本で働く留学生OBたち李 欣立 さん


李 欣立 さん(中国出身) 
(株式会社日中文化交流センター代表取締役) 


日中交流促進のため留学支援
起業には目的が大切

――留学支援事業を起こしたきっかけについて。
 私は98年の10月に来日し日本語学校に通いましたが、はじめは日本のことがよくわからず大変でした。そんなとき、ある日本人の友人が地元を一緒に案内してくれたのです。この時期に様々な面で先輩や周りの日本人が助けてくれたことは、私の最高の思い出として今でも残っています。その恩返しに、中国留学してみたい日本人のために何かできないかと考え、上智大学在学中に十数人を引率して上海ツアーを行ったのが最初のきっかけです。その後大学4年生のとき今の会社の前身であるNGOを立ち上げ、事業拡大とともに2004年4月に株式会社を立ち上げました。
 日中両国の架け橋となる文化交流教育事業を展開することが、当社の基本理念です。具体的には、中国語を勉強していて一度は中国に行ってみたいという日本人のために、現地の大学の寮に短期間泊まって学生と交流したり、現地のOBを訪問したりするプログラムを展開しています。これが実際に長期留学のきっかけとなることも多いです。北京と上海には大学の前に交流拠点を設け、精神的サポートも含めたトータルな支援を行っています。
 日中両国の発展のためには、今の青年たちがどう交流していくかが問題です。私の人生の中で日本留学は非常によい経験でしたので、私は日本が好きになり、将来中国で日本のことを宣伝したいと思うようになりました。同様に、中国留学希望者や留学中の方も親中派になっていただけるようにすることが必要です。学生さんにはなるべく安いコストで留学できて、最高の思い出が残るようにしてあげたいと考えています。また、将来的に中国に関する仕事ができるきっかけを提供しようと、中国の復旦大学など名門校と提携して留学プログラムを開発し、社会人向けの転職プランなども準備しています。さらに、日中交流を促進する観点から、中国人学生の日本短期留学ツアーも開始し、日本留学情報のサイトもオープンさせました。日本の大学の生の情報を中国に届ける有益なツールを提供したいと考えています。
 私が起業したのは、仲間たちと一緒に日中関係の発展のために何か行いたいという純粋な気持ちからであり、初期は日中の学生がボランティアで力を合わせてがんばってきました。今でこそ会社を運営していますが、当時の志は今も脈々と持ち続けています。留学生が起業するのは大変だという話をよく聞きますし、実際そうかもしれませんが、最も大切なことは「何のために起業するのか」ということです。「日中友好に貢献したい」という思いが私をずっと支え続けてきました。そういう志を同じくする仲間たちとチームを組むならば、困難があっても乗り越えられると思います。