Top向学新聞日本で働く留学生OBたち羅 春梅さん


羅 春梅さん(中国出身) 
(目白大学 新宿事務局職員 国際教育交流センター) 


「溶け込む」姿勢が大事
先輩留学生の体験談が有益

――留学生活を成功させるためのポイントとは。
  留学生が日本人や日本社会を知るには、その土地や人々に「溶け込む」ことが大事だと思います。あくまで異国の地ですので、自分のほうから溶け込んでいく姿勢が必要です。私が7年ぐらい日本で生活してきて感じていることは、日本人は親しくなるまでのハードルが高いので、留学生はプライドが傷つきやすく挫折しがちだということです。そのとき周りに支えてくれる人がいればよいですが、「相談できる人は誰もいない」と言う人も多いのです。しかしそう言う前に、自分が友人だと思う人にはまず本音で話してみることが必要です。そうすれば相手も本気でアドバイスや激励をしてくれるでしょう。そのような環境がなければ、自分で挑戦してそれを作るのです。「溶け込む」にはまず礼儀とマナーが必要です。日本語力はこれらができた上での話です。そのような意識を持って努力し続けていけば助言してくれる人も出て来るでしょうし、例え冷たくされてもその中で悟り学べることもあるでしょう。
  留学生は留学生どうしで固まってしまう傾向がありますが、それでは日本に来ても「溶け込む」力はなかなか身につきません。ハードルが高いからこそ努力しなければならない。そういう心がない人は、途中で帰ってしまったり楽な方法を探してしまったりします。「思い」の持ち方一つで結果は大きく違ってくるのです。
 その意味では、先輩留学生が留学中に乗り越えてきた体験談を後輩と交換することなどは非常に有益だと思います。ですから、大学内でも、日本社会の現場で活躍する先輩の生の声が聞ける研修会や情報交換会があれば良いと提案しています。それは日本でのネットワークを広げるのにも役立つでしょう。
  また、今まで留学生を受け入れてきた学校現場のノウハウを共有する機会もあれば有益でしょう。外国人入試には必ず面接がありますが、それは志願者の人格と将来性を見るためです。その際には人を見るときの専門的なポイントというものがあるはずです。今はまだ誰もそういったノウハウを確立していないかもしれませんが、今後そういったシステムを開発することは日本の留学生戦略の一つのポイントになると思います。

――大学職員として仕事のやりがいとは。
  私の大学では今、韓国からの交換留学生が増えていますが、彼らに「私を羅さんと呼んでください」と言っても「先生」と呼んできます。韓国では学校の職員も先生として扱われるのです。これは中国でも香港でも台湾でも同じです。
  そう呼ばれる以上は私はそのようにふるまうべきだと思っています。大学職員は単なる事務サイドの仕事なのではなく、教職なのです。ですから今は教育心理学も勉強してみようと考えています。留学生からは本当にいろいろな質問が来ますが、私のことを先生と呼んでくる人たちに対して「ごめんなさい、私は事務をしているからそれは分かりません」とはいえないのです。どれほど尊い仕事をしているかを意識しなければならないと感じています。