「留学生30万人計画」の骨子策定
(2008年9月号)
募集から就職まで体系的に支援
文科省ほか関係省庁
文部科学省、外務省、法務省など6省は7月29日、「留学生30万人計画」の骨子を発表した。渡日前の情報提供から留学後の受け入れ環境作り、卒業後の就職にまで至る体系的な支援策を整備し、関係省庁の連携のもと、2020年をめどに30万人の留学生の受け入れを目指す。
政府が留学生受け入れ計画を策定するのは、1983年に中曽根内閣のもとで掲げられた「留学生受け入れ10万人計画」以来25年ぶりのこと。10万人計画は2003年に達成されたが、その後「量から質」への方針転換などもあって留学生数は12万人をピークに頭打ちとなった。安部前首相は在任中にさまざまな政策会議を立ち上げ、「グローバル国家戦略」としての新たな留学生戦略を模索。この流れを受けて福田首相は、今年1月の施政方針演説で「留学生30万人計画」を策定し実施に移すと明言し、各省庁が基本方針についての検討を重ねてきた。
「30万人計画」骨子はまず、海外における日本留学のアピール強化を掲げている。積極的に日本文化を発信し、イメージ戦略としての「日本ブランド」を確立。日本ファンを増やして留学希望者の拡大につなげる。英国が留学生誘致の窓口として世界各国に「ブリティッシュ・カウンシル」を設けていることにならい、日本留学に関する一元的な相談・情報提供窓口を在外公館や大学の海外拠点に設置して、留学希望者へのワンストップ・サービスの提供を目指す。
また、入学許可や入居宿舎などの決定が母国にいる時点で可能となるような制度を整備して入り口を円滑にする。それと同時に、留学生にとって魅力ある大学づくりのために外国人教員の採用を増やしたり、英語のみで学位を取得できるコースを増やして大学のグローバル化を積極的に進める。その際には国際化の拠点となる大学を30選定し、重点的に育成してモデルケースとする。
在学中は、渡日後一年以内の留学生が必ず入居できる宿舎を提供し、安定した環境の整備に努める。そして卒業後には日本社会に定着し活躍できるように、大学や公的機関などが連携して留学生の就職を支援する。大学での専攻内容と就労する職種との厳密な一致を求める従来の入管行政については、緩和を検討する。
今後、この骨子をもとに各省庁が具体的な中身を詰め、09年度関連予算の概算要求に盛り込む方針だ。