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学士課程教育の改革促す
(2008年12月号) 


教育の国際通用性を確保  大学は学位授与の方針決定を
文科省中央教育審議会

  文部科学省は10月29日の中央教育審議会大学分科会で、学部教育の改革を促す答申案を発表した。教育のグローバル化が進み、日本の大学が少子化による「全入時代」を迎える中で、学士課程教育の質を保証するシステムを再構築するよう促している。「入難出易」と評されてきた教育の在り方を改め、成績の評価基準を明確にし、卒業ではなく「学位授与」を目的とするプログラムへと再編成していくよう各大学に促している。

  答申案では、学部レベルの教育を改革する具体案について述べている。世界の先進国の大学教育では、「大学が何を教えるか」よりも「学生が何ができるようになるか」という学習成果に力点が置かれているが、日本の「学士」学位は具体的にどのような能力を証明するものか不明確であると指摘。目指すべき学習到達度と学位授与の方針を各大学が定め、それを学内外に積極的に公開するよう促した。同時に国も「学士力」についての共通指針を参考のため示すべきだとした。
  教育の質保証のシステムや、「学位プログラム」を中心とした国内の大学制度の再編成については、中教審内にワーキンググループをつくって議論を開始している。また、国と大学を越えて、学位の水準についての具体的な枠組みを作ろうとする動きもある。経済協力開発機構(OECD)は高等教育における学習成果の評価制度(AHELO)の実現可能性を検証しようとしているが、日本はこれに参加する意思を表明しており、同様に中教審のワーキンググループで議論を開始している。実施分野は一般的技能、および分野別技能(工学および経済学)などがあり、今後日本がどの分野に参加するか検討していく。
  一連の動きの背景には、日本の大学の国際通用性に対する各界の危機感がある。OECDの調査によれば日本は最も大学生の修了率が高い国となっており、成績評価はかねてから甘いと言われてきた。また、大学が社会に向けて送り出すプロダクトとしての学生にどのような能力を身につけさせようとしているのか、産業界の意向を踏まえた対応がなされていないとの指摘もあった。こうした中、〝学部を卒業する以上は必ず身につけるべき汎用的な基礎力〟を明確化し、それを身につけさせるためのプログラムや成績の評価基準を具体的に定めることが、国際通用性の確保のうえで大きな要因になるとの認識から検討が始まった。
  グローバルな学生の獲得競争が展開される中で、福田前首相が打ち出した「留学生受け入れ30万人計画」を実現するためには、何よりも「教育の中身」の充実をはかることが必要との観点から、今後も文科省内で審議を継続していく。