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成績認証、大学も活用を
(2009年4月号) 


中国人留学生の受入拡大  30万人計画実現に向けシステム整備 
日本語教育振興協会・JAFSA・中国教育部が連携

  特定非営利活動法人日中産学官交流機構(会長/荒木浩東京電力顧問)と特定非営利活動法人国際教育交流協議会(JAFSA、会長/白井克彦早稲田大学総長)は3月23日にワークショップ「留学生受入30万人計画を考える」を開催し、日本語学校が中国からの入学希望者の学歴認証に用いている中国教育部学位センター(CDGDC)の認証システム制度を、大学学部・大学院生の入学選考にも利用できるよう計画していると発表した。今後大学への調査を行いモニタ校を募った上で、2011年度の利用開始を目指す。

  シンポジウムではまず文科省高等教育局の織田雄一氏が基調講演を行い、「すぐれた留学生を戦略的に獲得する」という観点が加わったことが留学生30万人計画の最大のポイントだと説明。世界の各大学が直接中国現地に出向いて学生募集競争を繰り広げている中、認証システム制度が活用できるようになるメリットは大きいとの見方を示した。
  続いて財団法人日本語教育振興協会(略称日振協)の佐藤次郎理事長が、現在運用中の学位認証システム導入の背景について説明。過去に中国からの日本語学校等入学希望者の選抜において、申請時の虚偽書類の提出が相次ぎ入国審査が厳しくなるという悪循環が発生。あっせん業者から成績に関するデータや卒業証書をもらっても信用度が不明なため、中国政府の責任において一元的に証明するシステムの構築を打診した結果、学生本人の手には渡らないで直接日本語教育機関に成績証明書が届けられるシステムを実現できた。2006年10月30日から申請手続きが開始され、現在まで日本語教育機関に約1万7000件の認証書が郵送されている。佐藤理事長は「大学本科・専科の卒業証書や成績証明書も、申請後20日以内で学位センターから一元的に発給できるよう話をつけてある。大学は質の高い優秀な学生の確保に大いに利用してほしい」と述べた。
  次にJAFSA中国認証評価検討プロジェクトチームリーダーの白石勝巳氏が、学歴認証システム利用のメリットなどを説明。利用登録の手続きはJAFSAおよび日振協を通じて行うが、この日本側窓口の一元化により統一的対応が可能になるため「入国管理の証明書としても非常に有効」だという。現在JAFSAと日振協が共同で整備を進めており、来年度後半の正式受付けを目指している。
  パネルディスカッションでは、日中産学官交流機構特別研究員の橋田坦氏が「日本留学を活性化させるには入口の課題解決が必要」と問題提起。日本学生支援機構留学生支援事業部の吉野利雄氏は、「昨年10月に北京と上海で開かれた中国国際教育展に日本の大学が初めて参加したが、現地の学生には宣伝する気があるのかと言われた。就職難が大きなプレッシャーとなっているため就職に至るコースとして日本留学を目指す人は多いが、情報が不足しており、あっせん機関に高いお金を払って留学するしかないのが現状」と述べた。中国側は学位認証システムの活用促進に積極的で、中国国際教育展北京フェアでは、参加した日本の大学の担当者を集めてCDGDCが制度の説明を行ったという。
 JAFSA副会長の横田雅弘氏は、「日本は(留学生獲得の)取り組みで諸外国に負けている。スクラムを組んでいかないと太刀打ちできなくなる」として、参加した各大学関係者らに認証システムの積極的な活用を促した。