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向学新聞2010年4月号記事より>


日中韓大学で単位互換推進 (文部科学省)
 

単位認定の共通基準、国レベルで 
質保証機関が連携

 文部科学省は、日中韓の大学どうしで成績評価方法を共有し、単位の相互認定を行うための新たな枠組み作りに乗り出した。国レベルで共通の単位互換のスキームを整えることで、これまで各大学が個別の協定を通じて行っていたダブル・ディグリープログラムの新規立ち上げを容易にするなど、教育の国際連携を活発化させる効果を見込んでいる。

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  2009年10月に行われた日中韓サミットで鳩山首相は、今後三国の大学間の単位互換を積極的に進め、大学教育の質のレベルを揃えるよう協力していく方向性を明らかにした。その一環として、国際学術会議の開催を提言。文部科学省ではこれを受け、「高等教育における質保証に関する国際会議」を開催するための予算3000万円を2010年度予算案に計上し、中央教育審議会の大学グローバル化検討ワーキンググループなどで具体策の議論を重ねてきた。
  文科省によれば、日中韓の留学生交流には大きな数的不均衡が生じている。中国から約7万3000人、韓国から1万7000人が来日しているが、日本からはそれぞれ約1万8000人、約3300人しか留学しておらず4~5倍の差が出ている。日本の大学が海外大学と交換留学協定を結んでも海外からの受け入れが主体となるケースが多く、日本人の海外留学希望者をいかにして増やすかが課題となっている。
  この背景には各国の大学制度の違いがある。社団法人国立大学協会が2007年に行った調査「留学制度の改善に向けて」では、日本人学生の海外派遣に関する大きな障害として「帰国後の単位認定が困難」(36・8%)。「帰国後留年する可能性が大きい」(67・8%)との回答が多かった。相手国の大学制度に関する情報が不足していることや、卒論の有無などカリキュラム上の不一致、成績の評価方法が異なるなどの事情があり、海外で取得した単位を日本の大学のカリキュラムに算入することは容易ではない現状がある。
  そこで文科省では、中韓各国の担当者と話し合い、国レベルで単位互換の相互認定システムを構築することを目指す。これを段階的にASEANやインド等に拡大していくことも想定している。
  国レベルで単位認定の共通基準が策定されれば、ダブル・ディグリーなど、現在大学どうしの話し合いにより行われている共同教育プログラムや交流プログラムも、容易に新規立ち上げや調整が可能になり、留学生の相互乗り入れが進む効果が期待できる。今後文科省では、参加国の大学長レベルの関係者や、産業界からの専門家などを含む政府レベルの有識者会議を開いて議論を進める。
  これとあわせて、日中韓の質保証機関の連携も行う。各国で教育の質を保証している枠組みへの理解を相互に深める必要があるためだ。独立行政法人大学評価・学位授与機構は、3月4日にタイ・バンコクで日中韓の大学評価機関による会合を開き、機関どうしの協議会を発足させることを正式に決めた(中国/中国教育部高等教育教学評価センター、韓国/韓国大学教育協議会)。また、教育の質保証の在り方について、情報共有を深めていくことを確認した。
  今後は、協議会を2010年度に数回程度定期的に開催し、専門家を交えて大学評価に関する共同プロジェクトを実施していく。具体的には「評価指標」や「評価方法」に関する共同開発、大学教育の「質保証システム」に関する情報の共有、評価や質保証に関する「用語集」の発行について話し合っていく。
  いっぽう、アジアでは既存のUMAP(アジア太平洋大学交流機構)の単位互換スキーム(UCTS)や、AUN(ASEAN大学連合)が検討する単位互換の枠組み(ACTS)なども併存しており、これらとの関係をどうするかについても検討していく。


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