向学新聞2010年12月号
大学院はキャリアパスの確立を
文科省中央教育審議会
国際協働教育を提言
文部科学省の大学分科会は10月29日の会合で、「大学院教育の実質化を踏まえた更なる改善について」の中間まとめを発表した。今後の大学院教育の改善方策を示している。
文科省では05年の中教審答申で、大学院教育の質の向上を提言。今年度までの5カ年の振興計画を策定した。その進捗状況を検証したところ、①人材養成目的が抽象的であったり実際の教育がその目的に沿っていない大学院が少なからず存在②博士学位がいかなる能力を保証するか共通認識が未確立③博士課程修了者が社会で活躍するキャリアパスが未確立――といった課題が浮かび上がった。また、欧米やアジア諸国では国際競争力強化のために博士人材の養成を強化しているが、日本社会は博士号取得者が十分に活躍できず、世界の潮流から遅れている現状も指摘した。
そこで中間まとめでは、習得すべき知識・能力が明確な「学位プログラム」としての大学院教育を確立し、学生の質を保証するよう提言。産業界と連携を強化し、「産学対話の場」を設けるなどして多様なキャリアパスを確立するよう求めている。また、グローバルに活躍する博士を養成するため、海外大学と連携し、日本人・外国人学生の垣根を越えた協働教育を展開するよう提言。これを通じて、コミュニケーション能力や、多文化環境で新しい価値を生み出せる能力を持つグローバル人材を養成するよう促している。こうした取り組みを行う大学を支援し、外国人教員の採用や、外国人学生の体系的な受入れを推進するべきだとしている。
こうした改善は「一刻の猶予も許されない課題」だとして、各大学院が取り組むよう訴えている。
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