向学新聞2011年9月号
企業文化の理解が課題
G30産学連携フォーラム
8月3日、第二回G30産学連携フォーラムが開催された。G30とは、文部科学省が大学の国際化のため実施している「国際化拠点整備事業」のこと。外国人留学生や留学経験のある日本人学生の雇用などについて産学が連携すべき課題について検討した。国際化拠点整備事業採択校が主催。
分科会「留学生の雇用について」のパネルディスカッションでは、大阪大学の元留学生、呉藝氏(中国)が、日系企業への就職が困難で外資系企業に就職した経緯について、「1年間アメリカの大学院に留学し、大学院2年生の5月に日本に戻ったら新卒採用が終わっていた。留学生にとって日本の新卒採用は不利」と指摘した。また、「日本人にとってホウレンソウ(報告・連絡・相談)は当たり前だが、留学生はどの程度言えばいいのか感覚がつかみにくい」といった日本の企業文化への理解が留学生にとって高いハードルであることを強調した。
東京工業大学の廣瀬幸夫教授は、留学生の企業文化の理解のための工夫として「日本事情の授業を単位化している」ことなどを挙げた。しかし学内には、「なぜ留学生に特化した支援が必要なのか。日本人学生の就職部門だけではいけないのか」という疑問の声もあり、大学側からの留学生への理解は未だ十分ではない状況も浮き彫りになった。
また、インターンシップが留学生に企業文化を理解してもらう方法の一つとして提示された。パナソニック株式会社の柿花健太郎氏はインターンシップで留学生を受け入れることで、「以前は年間で10人、20人辞めていったが、最近はほとんど辞めなくなった」と離職率低下の要因となったことを報告した。会場からは「G30だけではなく、産学官の連携を他の大学にも広げてほしい」、「中小企業の観点が抜けている」といった声があり、モデル事業としてのG30の取組みをどう日本全体の国際化の底上げに応用させるかが今後の課題となるようだ。
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