向学新聞2012年1月号
海外留学仲介業にルール
留学サービス審査機構発足
安心して留学仲介業者を選べるようにするため、仲介業者の審査・認証が始まった。留学サービス事業団体(一般社団法人海外留学協議会、留学・語学研修等協議会)や留学を専門に消費者相談や紛争処理を行う消費者団体(NPO法人留学協会)が中心となり新たなルールを作成、そのルールに基づき第三者の立場で審査・認証を行う一般社団法人留学サービス審査機構が11月25日に発足した。
消費者庁によると、留学斡旋サービスについての相談が、全国の消費生活センターなどに2009年度は445件、2010年度は517件寄せられている。相談内容は、契約を解約したが返金されない、現地の学校への支払いがされていない、予定されていた滞在先に入居できないといったものなど。2008年は「ゲートウェイ21」、2010年には「サクシーオ」といった仲介業者が倒産し、海外へ渡航できない上、支払い金を返金されないといった被害を受けた利用者もおり大きな問題となった。仲介業者は300~400社あると言われているが統一されたルールはなく、こういった問題を契機に消費者庁は業界団体に対応を求めてきた。
新たなルールでは、渡航日までに海外機関が利用者の受入れを認めた証明書類を交付することや、契約して8日目までは違約金なしで解約可能、プログラムの詳細を書面にして交付するといった内容を事業者に求めている。また、経営状況を確認するため、認証申請時に直近3年間の財務諸表の提出を課す。財務状況は毎年変化するため、認証期間は1年とし随時更新する必要がある。消費者庁とも情報交換をしながら活動していく。
認証後は、認証事業者として認証マークを契約書、パンフレット、ホームページなどに記載することができる。留学サービス審査機構のホームページにも認証事業者として表示されるが、重大な違反などで認証が取り消された場合は即座に公表される。
認証事業者が増えることで、消費者保護やサービスの質の向上が見込まれる。日本人学生の内向き志向が強調されているが、就職活動への影響など海外留学を後押しする社会状況が不十分であることも事実。留学サービス審査機構の堀江学理事長は「日本の若者には積極的に海外に出て外の世界を見てほしい」と強調する。
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