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向学新聞2012年3月号


グローバル人材の育成強化へ

                 文部科学省   平成24年度予算案

 文部科学省は昨年12月24日に平成24年度予算案を公表し、昨年度より949億円増の5兆6337億円となった。大学教育や人材のグローバル化を目指す分野では、208億円増の641億円を計上した。厳しい財政状況の中、未来を担う教育分野への投資となった。
 学生のグローバル力の徹底強化を目的とした「グローバル人材育成推進」事業が新たに盛り込まれた。大学は、育成目標とするグローバル人材像と具体的な基準、その基準をクリアした学生の目標数値を設定する。目標達成に必要となる、留学しやすい環境整備や語学力向上の取組みなどを文科省が支援する。例えば、外国語による論文作成能力養成のためのアカデミック・ライティングの徹底、留学先の大学で専門科目レベルの履修が可能な力を養成するための留学前準備教育の実施、産業界と連携し、留学中及び帰国後の就職支援などの取組みだ。約20億円の事業10件、約1億円の事業30件を選抜する予定だ。
 また、政府は2020年までに日本人学生の海外留学30万人を目指しているが、留学経験者を増やすため、長期(1年以上)留学する学生200人、短期(3カ月~1年)留学する学生2280人に奨学金を給付する。それぞれ昨年度より、100人と1520人の大幅増加となる。
 外国人留学生・教員の受入れを促進し、大学のグローバル化を図る「大学の国際化のためのネットワーク形成推進」事業も昨年度から3億円増の26億円の予算で継続する。「グローバル30」と呼ばれる東京大学、慶應義塾大学など13校が、英語による授業で学位を取得できるコースの設置や、海外の協同事務所を通じたワンストップの国際拠点整備を図る。
 新規事業として、卓越した大学院の研究拠点に対し、博士課程の学生が研究に専念できる環境を整備するために必要な経費を支援する。80億円を投じて、世界で活躍できる研究者輩出のシステム構築を目指す。
 大学の世界展開力強化のため、ASEAN諸国の大学と単位相互認定などの質保証を伴う大学間プログラムに約7億円投じる。これまでの日中韓のキャンパスアジアや米国、欧州との事業に加え、交流範囲をASEAN諸国にも拡大する形だ。全世界の留学生数は、1975年の80万人から約30年後の2008年で330万人に達し4倍になった。今後更なる留学生数の増加が見込まれており、日本人学生の留学促進はもちろん、外国人留学生が魅力を感じる大学教育やプログラム作りに期待がかかる。



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