向学新聞2012年4月号
世界の学生被災地視察
文科省 ジャパンスタディプログラム
3月8日から3月18日にかけて、世界42カ国・地域の学生214人が被災地や日本の現状を視察する「ジャパンスタディプログラム」が文部科学省事業として実施された。政府関係者からのレクチャーや、早稲田大学の学生とのディスカッション、岩手大学、東北大学でのシンポジウムなど様々なプログラムが催された。
被災地の視察には岩手県に80人、宮城県に87人、福島県に47人の学生が訪れた。ドイツで日本語を専攻している男子学生が、「被災地の生の姿を知ることが今回のメインの目的。自分の体験を母国に伝えたい」と話すように、学生の関心の多くは被災地を直接知ることにある。
岩手コースでは、津波で住宅などが流され跡地だけが残る釜石市の町を目の当たりにした。ロシアの女子学生は、「涙が流れてくる」と被害の大きさを身に染みて感じた。
また、一度は津波で流されかけながらも生還した旅館・宝来館の女将を一行は訪れた。女将の「被災地に残ったのは人との心の繋がり、絆だった」という言葉や、米国の9・11テロや中国の四川大地震にも触れ、「人を心配する気持ちは世界中同じだ」という話に多くの学生が共感した。フィリピンの男子学生は「『それでもここで生き続ける』という言葉が印象的だった」と話した。学生たちは力強く生きる被災地の人々の熱い思いを感じ取っていた。
彼らは帰国後、様々な形で今回体験した日本の姿を母国に伝える。韓国の男子学生は「日本は全く問題ない。留学しても大丈夫だと伝えたい」と強調した。同プログラムの記録映像を作成し、観光庁や日本政府観光局が海外で行うイベントや、在外公館が行う日本留学説明会などで活用していく予定だ。
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