<向学新聞2012年7月号記事より>
留学生、半数が就活に苦戦
長期間日本で勤務希望も多数
国際留学生協会アンケート調査
特定非営利活動法人国際留学生協会(IFSA)は6月2日に大阪、6月16日、17日に東京で「IFSA外国人留学生就職フォーラム2013」を開催し、参加留学生にアンケート調査を行った。回答者は392名。就職活動の状況(複数回答可)について、「苦戦しており、希望する企業への就職は難しそうだ」と回答した留学生が半数(51%)に上った。
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調査は無記名によるアンケート形式で、回答者の大半は2013年の春に卒業を控えた留学生。17カ国・地域の留学生が回答し、その内中国、韓国、台湾出身の学生が9割近くを占め、ミャンマー、ベトナム、マレーシア、タイと続いた。
就職活動の状況(複数回答可)について、44%が「希望企業だけではなくもっと多くの日本企業に応募したい」と回答しており、苦戦しながらも視野を広げようとしている姿が伺える。
日本で何年働きたいかという質問では、「3~5年」が24・2%、「10年以上」が22・4%、「永住を希望」が22・4%と上位3回答がほぼ横並びとなった。しかし、「10年以上」(22・4%)と「永住を希望」(22・4%)を合計すると44・8%と半数近くになり、多くの留学生が長く日本で働きたいと考えていることが明らかになった。
希望する業種(複数回答可)は、商社(総合・専門)が39%、メーカー(電気・電子・半導体)が38%、通訳・翻訳が28%と続いた。日本企業に就職を希望する理由(複数回答可)では、「留学で身に付けた語学力や専門性を活かして働きたい」との回答が約7割と突出しており、そのような留学生の意向が希望業種にも反映されているようだ。
就職活動で困っていること(複数回答可)では、「SPI・筆記試験」を選択した学生が49%と最も多く、日本語力や歴史などの日本に関する知識では、日本人学生と競争するには難しい点もあり、苦戦している大きな要因となっている。次いで「面接」が29%となった。
自由回答欄では、「SPIや筆記試験などで日本人と同じ基準で評価することはやめてほしい」、「日本のマーケットは徐々に縮小していき、留学生も減少している状況で、もっと留学生を採用してほしい」といった声の他に、「ほとんどの企業がグローバル化を目指すと説明しているが、日本企業が求めるグローバル化とは何なのかを明確に示してほしい」という感想もあった。
多くの日本企業は留学生採用を進めながらも、日本人学生と同じ評価基準で判断することが多い。しかし、企業に改善してほしいこと(複数回答可)では、45%の留学生が「留学生採用枠を増やしてほしい」と回答しているように、「留学生」ならではの強みを活かしたい外国人留学生と企業の間に、認識の違いがあることが明らかになった。
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