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向学新聞2012年10月号


G30産学連携フォーラム開催

                    グローバル人材育成を議論

 第3回グローバル30産学連携フォーラムが開催され、大学と企業とが、グローバル人材育成と社会のグローバル化について議論した。9月19日に経団連会館で実施。グローバル人材の中身や教育の質保証が議論の大きな焦点となった。   
 
 国際基督教大学(ICU)の森本あんり学務副学長は、「主体的で持続的な学習力、複数分野の統合力、批判的思考力がグローバル人材には必要だ」と述べた。また、これまで「グローバル人材」という言葉を使う時、語学力が安易に連想されてきた。しかし、筑波大学の辻中豊副学長はグローバル人材の育成とは、「まっとうな人間を育成することだ」と主張した。新日本製鉄株式会社人事・労政部部長の山中一馬氏が、「すぐに答えを求める姿勢、受け身な態度が学生の課題ではないか」と指摘するるなど、企業が本質的な部分での人材育成を求めていることが明らかになった。
 
 これに対し森本学務副学長(ICU)は、「これまで企業は、即戦力を求めていると聞いてきたので新鮮だ。大学の本来的な目標である」と述べた。しかし、教育の質保証に関して日本の大学は必ずしも評価が高いわけではない。落第の有無がその一つだ。海外の大学では、4年以上かけて大学を卒業することは珍しくはない。しかし、日本ではそうしたケースは少なく比較的容易に大学を卒業できる。そのため、「世界的な基準では日本の高等教育はあまり信用されていない」と森本学務副学長(ICU)は指摘し、世界標準における教育の質保証を求めた。
 
 また、就職活動の問題も議論された。現在、新卒一括採用が主流だが、大学関係者から企業に柔軟な採用活動を求める声が数多くあった。しかし、山中氏(新日本製鉄株式会社)は、「企業は変化している」と多用な採用活動の実施を主張し、企業の姿勢を大学関係者と共有した。本フォーラムは大学関係者と企業の認識のギャップを埋める効果的な場となった。今後は、議論した内容をどのように具体的な行動に移すかが鍵となる。



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