<向学新聞2013年1月号記事より>
外国人留学生採用熱高まる
留学生対象の就職フェア開催
更なる就職支援の拡充を
昨年12月1日から、2014年新卒の就職活動が本格的に開始された。企業のグローバル人材採用意欲の高まりから、外国人留学生を対象とした就職フェアが次々と開催されている。しかし、卒業間近まで就職活動を継続するなど、苦戦している留学生も少なくない。
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昨年12月15日、16日に東京・秋葉原で外国人留学生向けの就職フェア(株式会社ベイングローバル主催)が開催され、2日間で72社の企業と約3200名の留学生が参加した。株式会社ベイングローバルの大澤藍代表取締役社長は「昨年は1日限定だったが、今年は2日間開催し出展企業が倍になった。グローバル人材採用に対する興味や意欲は非常に高まっている」と話す。同フェアに参加した日本大学3年生のファン・サンホさん(韓国)は、「韓国では中小企業が活躍する場があまりない。サービス業などの世界進出では日本の方が強みがある」と日系企業での就職を希望している。12月9日に開催された外国人留学生向けの就職フェアでも、出展企業20社、参加留学生が1085名(主催者発表)と盛況を博した。
大学も留学生の採用熱の高まりと共に、積極的に就職活動を支援している。明治大学で12月9日、外国人留学生に特化したビジネスマナー講座が実施された。明治大学3年生のヨウさん(中国)は、「日本の面接マナーは素晴らしい」と日本文化への理解を深めた様子だ。
しかし、必ずしも順調な就職活動を行えるわけではない。外国人雇用サービスセンターとハローワークが11月28日、大阪で外国人留学生向けの就職面接会を開催した。同面接会は、2013年春に卒業を控えた留学生が主な対象だ。参加企業は17社、来場者は281名となった。卒業学年の後半まで就職活動を継続している背景には、大手企業志向や就職活動の開始時期が遅れてしまった傾向がある。しかし同面接会に参加した学生は、職業相談などを重ねる中で、企業規模にこだわらず自分の能力を活かせる企業に方向性をシフトしている。また、参加企業の半数は従業員数100人以下だが、海外に現地法人や取引先があり、既に留学生の採用実績がある企業が中心だ。「大手企業のような採用ツールを持たなかったり、エントリー数が少ない企業からは、この時期の開催が喜ばれている」と大阪外国人雇用サービスセンターの担当者は話す。
日系企業のグローバル化は待ったなしの状況で、就職を望む留学生は貴重な戦力だ。明治大学3年生のリーさん(中国)は、「中国は急速に成長し、新卒を育てる余裕がない。日本はじっくり育ててくれる。成長した先輩の姿を見て、日本で就職したいと思った」と話す。しかし、日本大学のファン・サンホさん(韓国)は、「企業が留学生を採用するかどうか分からないのが一番困る。大手就職サイトでも、留学生採用情報が不足している」と嘆く。企業も留学生もお互いを求める気持ちは強い。留学生に特化した就職サービスや支援の更なる充実が求められる。
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