<向学新聞2013年11月号記事より>
アジアで日本語学習支援強化へ
アジア文化交流懇談会開催 日本語学習者減少を危惧
有識者を集めた文部科学省の検討会(主査/木村孟・東京都教育委員会委員長)が8月28日、「世界の成長を取り込むための外国人留学生の受入れ戦略」を公表した。9地域を重点地域に定め、戦略的な留学生獲得を狙う。
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9月30日にアジア文化交流懇談会(座長/山内昌之東京大学名誉教授)が開催され、安倍首相に対して日本語学習の支援強化などについて提言がなされた。
安倍首相がインドネシアで今年一月、「アジアの多様な文化、伝統を共に守り、育てていく」ことをアセアン外交5原則の一つとして表明し、その具体的な施策を総合的に検討するため今年4月に第一回懇談会が開催された。これまで現地視察を行いながら議論を重ね今回の提言に至った。
提言の柱の一つとして、日本語の学習支援が挙げられ、①日本人派遣教師の増員②現地人教師の指導力向上③現地教育関係者への働きかけ④IT技術の活用⑤日本語学習が日本企業への就職などにメリットとなる環境を作るよう提案がなされた。
安倍首相は懇談会の冒頭に、「『アジアの新文化創造』の実現は安倍政権の新しいアジア政策の柱の一つ。この提言につき、今後のASEAN政策の大きな柱としたい」と話している。
国際交流基金の調査によると、2012年の世界の日本語学習者数は約398万人と過去最高を記録し着実に学習者が増加してきているが、提言では日本語教師数の圧倒的な不足、現地人教師の質について課題を指摘している。また、現在中国は中国語と中国文化を普及させるため、世界の大学と共同設置する「孔子学院」を世界各地に690箇所展開しており、日本でも早稲田大学や立命館大学等多くの大学に孔子学院が存在する。
このように他国が自国語普及に攻勢をかけており、同懇談会は日本語学習者数が減少に転ずる危機に対し大胆な施策を求めている。
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