<向学新聞2014年6月号記事より>
印・露と大学交流強化
留学生受入れ米中に遅れ 大学の世界展開力強化事業
文部科学省は5月15日、大学の国際教育連携の取組みを支援する「大学の世界展開力強化事業」の公募説明会を実施した。これまで同事業で、東アジアやアセアン地域等との交流促進を支援してきたが、2014年度はインド・ロシア等との大学交流プログラムの支援を開始する。
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説明会には大学など46機関、102名の応募があり、選定プログラムには年間6000万円の補助金が最大5年間支給される。インド・ロシアの両国は、近年の経済成長に伴い国際社会での存在感が増してきている。文科省の担当者は、「今後日本と両国における経済・エネルギー分野等での関係強化が必要だが、交流教育は関係構築の基礎になる」と話す。
日本学生支援機構の調査によると、2013年に日本で学ぶインド人留学生は560人、ロシア人留学生は339人と両国合わせて全体の0・7%しかいない状況だ。しかし一方で、米国国際教育研究所によると、2012~2013学年度に米国で学ぶインド人留学生は約10万人、ロシア人留学生は約5000人となっている。中国においても、2011年のインド人留学生は約9500人、ロシア人留学生は約1万3000人と中国教育部が公表しており、日本と比較して大きな開きがある。文科省の担当者はこれらの地域から日本への留学生受け入れについて、「人口規模から考えると、ポテンシャルは非常に大きい。良いグッドプラクティスを作りたい」と話す。
同事業ではこれまで、東京大学・北京大学・ソウル大学校の日中韓トップ大学(2011年度採択)や、北海道大学とインドネシア・タイの6大学(2012年度採択)による国際教育連携等を支援し、その対象地域を広めてきた。今年3月には2011年度事業の中間評価がなされ、合計25プログラムで2012年度末までに日本人学生約1300人の派遣、外国人留学生約810名を受け入れ一定の成果を残した。今後も交流が重要と思われる地域に事業を広げていく可能性があり、グローバル化の推進が期待される。
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