<向学新聞2014年10月号記事より>
アフリカ研修員156名来日
ABEイニシアティブ 日アフリカ繋ぐ産業人材を育成
(JICA/久野真一)
独立行政法人国際協力機構(JICA)は9月19日、ABEイニシアティブ「修士課程およびインターンシップ」プログラムに参加するためにアフリカから来日した研修員156名の激励会を東京で開催した。
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「最後のフロンティア」と言われるアフリカ大陸。10億人市場としての認識を高めているが、日本で学ぶアフリカの留学生は約1150名で、日本の留学生総数の1%未満。日アフリカのブリッジ人材が不足している状況だ。
しかし昨年6月に開催されたアフリカ開発会議で、安倍総理が日本とアフリカの産業人材を育成するABEイニシアティブの実施を表明。同プログラムでは、5年間で約900名のアフリカの留学生を日本に受け入れる。最大3年間の滞日期間で、大学院修士課程英語コースでの学習や企業でインターンシップを行なう。今年は一次バッヂとしてコートジボワール、ケニア、エチオピアなどから研修員が来日した。
激励会で日本・アフリカ連合友好議員連盟会長の逢沢一郎議員が、「アフリカは援助の対象からパートナーの対象に変わってきた。世界中が注目している」と強調した。しかしアフリカが魅力的な市場である一方で、日本からは地理的距離が遠く、情報量が圧倒的に少ない。また、多様な国家・民族が存在し、現地に精通しているパートナーの協力が不可欠だ。日本経済団体連合会の野路國夫サブサハラ地域委員長も、「アフリカ投資を成功裏に進めていくにおいて、優れた現地人材の確保は重要課題の一つ」と指摘し、同プログラムの重要性を訴えた。
研修員も高い意欲を持ってプログラムに参加。エチオピア政府機関で勤務し、国際大学国際関係学研究科に進学するウォンディラッド・メセレト・アベベさんは、「エチオピアは非常に高いポテンシャルを持っている。日本の民間企業の投資を呼び込みたい」と抱負を語った。ケニアで農業コンサルタントとして活躍しているニヤムウェヤ・マーサ・ケムトさんは、「日本は農業分野で先進的な国。気候問題や環境に配慮しながら農業の生産性を最大限にする方法を学びたい」と東京農工大学農学府に進学する。
同プログラムのポイントは、研修員の推薦制度と日本企業でのインターンシップだ。研修員は、日系企業が取引を行っているアフリカ現地企業の幹部候補や政府機関の若手行政官などで、日本企業等が有望な人材を推薦。さらに研修員は選抜を通過して来日している。大学院での学習後は、日本企業が研修員をインターンシップ生として受け入れることで、将来のアフリカのリーダーと人脈を形成できる。アフリカとの繋がりが強い欧州諸国や現地での存在感を増す中国など世界がアフリカに注目する中、日本もアフリカ産業人材の育成に着手する。
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