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向学新聞2015年3月号記事より>


ベトナム留学生3割超え
 

日本語教育機関の留学生数 ネパールも増加、中国は減少

 一般財団法人日本語教育振興協会が2月3日、2014年度の日本語教育機関の概況を公表した。日本語教育機関に通う留学生数は4万3667人(2014年7月1日現在)だったことが明らかになった。

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日本語教育機関の留学生出身国・地域内訳
(一般財団法人日本語教育振興協会資料より作成)

日本語教育機関 グラフカラー
(2014年7月1日現在)


 最も学生数が多い出身国・地域は中国で1万6118人。しかし、2010年度の2万9271人からは減少傾向が顕著になり、全体に占める割合も4年で67%から37%に下がった。日本語学校関係者からは「中国が経済発展することで日本に留学する意識が低くなってきている」という声が上がる。
 
 一方留学生増加を支えているのが、中国に次いで多いベトナムとネパールだ。ベトナムは過去最高の1万3758人で31・5%を占め、中国に迫る勢いを見せる。ネパールも最高の4779人となった。一般財団法人国際教育交流フォーラムの堀江学理事長は、「ベトナムでは日本語がブームで、現地の日本語学校に通う学生も増加している。中国からの留学生が伸び悩む中、日本語学校も新たなマーケットを開拓中だ」と話す。
 
 しかし、ベトナムからの留学生が増える一方で、悪質な日本留学仲介業者の問題が顕著になってきた。昨年11月には在ベトナム日本大使館が日本留学希望者に対し、「『仕事をしながら勉強ができる』ということを強調する留学斡旋業者には要注意」と勧告している。「日本語能力によって、勉強しながらでも、1ヶ月17万円~30万円の給与が貰える」などと謳う留学斡旋業者の存在を指摘し、留学前に正確な情報を取得するよう促した。
 
 だが、ベトナムでの正確な日本留学情報の収集は難しいという課題がある。留学情報の提供や相談業務を行なう日本学生支援機構の海外事務所はインドネシア、韓国、タイ、マレーシアにしかない。堀江氏は、「日本留学希望者の多くが仲介業者頼みで、バイアスのかかっていない情報を得ることが難しい。欧米留学の仲介業者はベトナムでエージェント協会を設立し安全性を担保しているが、日本留学の業者は加盟していない」と指摘し、「留学生別科を持っていたり、英語で学位を取得できる大学などが直接海外の学生にPRすることも重要だ」と強調する。

 大学に進学する留学生の6割前後が日本国内の日本語学校を経由していると言われており、大学への影響も必至だ。日本語学校・大学が共に取り組むべき課題となっている。




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