<向学新聞2016年11月号記事より>
日露50大学が意見交換
交流拠点倍増で日露留学生5倍化目指す
研究・教育での協力拡大へ
「第6回日露学長会議」が10月6日、ロシアのモスクワ大学図書館で開催された。日露の約50大学の学長・副学長・教員らが、日露大学間の教育の協力拡大等について意見交換を行った。日本側からは政府予算で新たに日露間で交流を行う大学を2倍にする計画が示された。
同会議は毎年、日本とロシアを交互に会場として開催されている(昨年は東京開催)。日露の大学が直面する課題や解決策について意見交換し、大学間のパートナーシップを強化することが狙いだ。今年は日本の20大学とロシアの32大学が参加しこれまでで最大の規模となった。東北大学の里見進総長とモスクワ国立大学のヴィクトル・サドーヴニチィ学長が共同議長を務めた。協力促進のための日露大学協会の設立準備を含む、共同声明を採択し幕を閉じた。
日本の政府部内では、以前から日露の大学間交流の活性化が方針として示されてきた。安倍首相は2013年10月のプーチン大統領との会談において、「2020年にかけて両国の学生交流を双方向で5倍、2000人規模に増やす」ことを提案した。独立行政法人日本学生支援機構の調査によれば、ロシアから日本の高等教育機関には2015年5月時点で451人が留学している。
この実現に向けて2014年度に文部科学省はロシアとの大学間交流の形成に1・7億円を計上。ロシアの大学で取得した単位を自大学の単位として認定する制度や、産学連携プログラムの構築などを支援してきた。文科省は、大学間交流を倍増させるため、この予算を2017年度に3・6億円へと拡充させることを計画している。現在国立5大学(北海道、東北、筑波、東京、新潟)でプログラムが稼働中だが、さらに新規の採択校を6件増やし、来年度からの事業開始を目指している。
文部科学省高等教育局国際企画室の岩渕秀樹室長は、「日露留学生2000人の目標達成は、今後どれだけ機運を盛り上げられるかにかかっている。新しいプロジェクトの拡充により、大学が共同プログラムを築いていくなど、大学独自の取り組みの活性化につながれば」と話している。
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