<向学新聞2017年3月号記事より>
クールジャパン人材の受入促進
新たな技能検定試験を創設
サービス分野も門戸開く
政府は1月20日に開いた国家戦略特別区域の諮問会議で、アニメやファッションなどのクールジャパン分野や、人手不足が深刻化している接客や警備などサービス分野の職種で、一定の技能水準を満たす外国人を優先的に受け入れる仕組みを作ることを決めた。現在外国人には閉ざされている美容師、介護士、保育士などの職種を受け入れ対象に含めることも検討している。
政府は昨年、国家戦略特区でクールジャパン外国人材の受入れを拡大することについて、一年以内(2017年夏まで)を目途に必要な措置を講ずると決定していた。当日の諮問会議では堺屋太一内閣官房参与が、人材受入れの新たな仕組みを提案した。
現在、日本が世界に積極的にPRしているクールジャパン分野の就労については、「アニメやファッションを勉強した留学生が日本に残って就職できないというおかしなことになっている」(山本内閣府特命担当大臣)。接客・おもてなしといった技能はそもそも技能と評価されず、単純労働扱いとなっているため、インバウンド対応のニーズが高まっていても外国人が就労しにくいのが現状だ。
そもそも、これらの職種の在留資格審査は入国管理局の裁量による部分が大きく、どんな要件をどれだけ満たしていれば就労可能な「専門的・技術的分野」とみなされるのかが不明確だとの指摘がされてきた。そこで特区には受入基準を明確化するための「外国人雇用相談センター」を設置し、専門家や自治体も加わってルールを定める体制を整える。
また、外国人の技能レベルの審査については、新たな技能検定試験を創設し、一定基準をクリアした人材のみを受け入れる。現在準備中の「外国人就労適性試験(仮称)」は、敬語や電話応対能力、社会常識などを測る「共通基礎試験」と、専門能力を測る「業種別試験」を組み合わせたもので、2017年夏にも第1回目試験の実施を目指している。
具体的にどの職種を受け入れ対象に含めるかについては、特区に指定された地域のニーズを踏まえて決定する。外国人が国家資格を取得しても働けない美容師や、日本語で実施する国家試験が障壁となっている看護師・介護士・保育士などの職種も対象に含まれる可能性がある。
今後各省庁と最終的な詰めを行ない、今通常国会に提出する改正特区法案に具体的な措置を盛り込んで行く。安倍首相は、「クールな日本が大好きで、日本語を熱心に勉強している若者たちは日本とそれぞれの国のかけ橋となる人材。彼らが日本で職につき、母国から来た観光客に日本の魅力を直接伝えることは、両国にとって経済を超えた大きな価値を生み出す」として、規制緩和を積極的に進める姿勢を示した。
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