向学新聞2017年4月号
留学生宿舎の100億円基金設立
みずほ銀行、丸紅、東京建物が共同で
みずほ銀行は丸紅、東京建物と共同で、100億円規模の留学生寄宿舎のファンドを設立する。ファンドが資金を拠出し、丸紅は物件開発時の一時保有やアドバイザリー、東京建物は建設等を担う予定だ。今後、さらにファンドへの出資や宿舎運営等で参画したい業者を募り、今年6月までをめどに創設することを目指している。
ファンドは大学から土地を借りて建物を建設し、運営は専門業者に委託する。家賃収入のほか、運営開始から5年程度で不動産投資信託(REIT)等に売却することで資金の回収を見込む。
これまで大学不動産の使用は学生の入居などその大学が直接関係する事項のみに限定されていたが、2017年4月に国公立大学の法人法が改正。第三者に不動産を貸し付けることが可能になり、これがファンド設立の追い風となった。
18年度中にも国立大学の敷地に第一号となる収容規模300人の宿舎を建設し、その後私立大学にも広げ、ゆくゆくは全国7~8か所まで拡大していく予定だ。
単に場所を提供するサービスとは一線を画し、航空券の手配や出入国手続き、引越し・入居、留学生と日本人学生との交流サポートなどをコンシェルジュが対応する手厚いサービスの提供を目指している。各部屋は家電付きを想定しており、家賃は相場より安めの設定にして入居者を確保するが、具体的な金額は寮の仕様や収益性を鑑みて今後決定していく。
ファンド設立の背景には、海外と比べて留学生が住める公的宿舎が不足している現状がある。学校や公益法人等が設置する宿舎や寮の整備率は25%程度にとどまっており、留学生の大半は民間のアパートに居住している。海外では各大学が徒歩圏内に寄宿舎を設けることが一般的で、充実した住環境も大学の魅力の一部となっている。そうした海外のノウハウも取り入れながら、ファンドを利用して宿舎を整備することで勉学に集中し易い日本留学の環境を作り、民間の力で留学生30万人計画を後押ししたい考えだ。
みずほ銀行の担当者は、「海外から外国の方が来る流れは今後も変わらない。公の力だけでは不足しがちな部分をファンドの設立で貢献できれば」と話している。
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