<向学新聞2017年5月号記事より>
インターン「1日」が最多
企業は採用選考に活用
時間や情報の確保が課題
就職活動中の留学生の約4割がインターンシップに参加し、そのうち4割が実施期間1日のみのごく短期のインターンシップに参加していたことが、特定非営利活動法人国際留学生協会が行ったアンケート調査で分かった。いっぽう、参加しなかった留学生については、35%が「学業で忙しかった」、30%が「情報不足」を理由として挙げており、時間や情報の確保に課題を抱える留学生の姿も浮かび上がった。
調査は国際留学生協会主催の「IFSA外国人留学生就職フォーラム」の来場者272名にアンケートを行ない、129名から回答を得た。国籍の上位は中国が47・3%、ベトナム20・2%、ネパール10・1%、韓国6・2%の順。以上4か国で全体の84%を占めている。在学段階別では専門学校が43%、大学が21・9%、大学院修士が19・5%の順だった。
インターンシップに参加して良かった点(複数回答)は、多い順に、「業界を知ることができた」が56・7%、「企業を知ることができた」が48・6%、「就職活動の準備になった」が45・9%となっている。本格的な就職活動を迎えるにあたって、準備段階の知識や体験を得ることには役立っているようだ。いっぽう「仕事への適性が分かった」は27・0%で、上位回答の半数程度にとどまった。1社あたりのインターンシップの日数は「1日」が4割で最も多く、「2~7日」も合せると全体の半数に達した。
欧米等ではインターンシップは1ヶ月以上の期間で行われることが多く、日本のいわゆる「ワンデーインターンシップ」は世界的に見ても特殊な形態だ。企業が3月の広報開始前に説明会代わりに実施している場合もあり、参加した留学生も仕事とのマッチングの見極めまでは十分に行えなかった状況がうかがえる。
また、「参加後企業からアプローチを受けたか」については、72・2%が「受けた」と回答した。その内容は「参加者限定セミナーの案内」、「今後の選考の案内」、「人事担当からの直接連絡」など、採用選考につながる内容が多数を占めた。
日本の代表的企業1340社が加盟する経団連は、インターンシップを企業の採用選考活動と切り離して行うよう指針を定めている。しかし実際には企業がその後の採用活動につなげたり関係づくりに活用しているケースが多い。経団連は少なくとも5日以上の期間でインターンシップを実施するよう定めているが、「指針を順守すべきは経団連加盟企業のみ」という認識が企業側に広まっていることから、広報・採用活動としての位置づけで5日間以下のインターンシップが多数実施されている。
この現状を受けて経団連は2017年4月10日に指針を改定し、1日限りのプログラムについては「教育的効果が乏しく、企業の広報活動や、その後の選考活動につながる」として行わないように定めた。ただ、経団連が2016年夏に会員企業に行った調査では、6割超がインターンを採用手法の一つとすることを将来的に容認するよう求めており、企業ニーズとのずれとともに、既に指針が有名無実化している現状も垣間見える。
インターンシップと就職・採用活動との関係については、文部科学省の調査研究協力者会議や、規制改革推進会議の人材ワーキング・グループなどで議論が行われているが、政府としてどのような方針をとるかまだ結論は出ていない。
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