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向学新聞 2018年2月号


中小企業の外国人雇用を討論

外国人・企業・地域一体で環境整備を


当日のパネルディスカッションの様子

当日のパネルディスカッションの様子)


 中小企業における外国人雇用の現状と課題を討論するシンポジウムが11月30日、東京で開催された。主催は株式会社日本政策金融公庫総合研究所。当日は外国人を雇用する中小企業関係者等が参加し、外国人の活用事例や課題点などを共有した。


 第1部は慶應義塾大学の樋口美雄氏が、日本の人材不足と働き方改革について基調講演。2016年に国内の求人倍率が1・19倍となるいっぽうで求職者数が右下がりとなっている人手不足の現状を説明した。「外国人を移民として受け入れるのか、ローテーション方式で一定期間経てば次の人に交代する形で受け入れるのか。人間である以上生活しなければならないので地域住民の理解を得ずに企業だけではうまくいかない」と述べ、雇用形態に関わらず働き易い環境を地域一体となって整備する必要性を訴えた。


 後半のパネルディスカッションでは、外国人を雇用する中小企業等のパネラーが人材のマネジメントについて現状報告と意見交換を行った。


 従業員の4分の1が外国人というサポート行政書士法人の鈴木徹司代表は、「業務を外国人が外国人に教えるとグループ化して壁ができる」ことから、日本人が外国人に教える形をとることでスムーズに教育できていると説明。いっぽう、「資格外活動許可の有無の管理がずさんな会社がいざ就労資格を申請してもなかなか許可されず、実際に外国人を雇えなくなった企業も出ている」との事例を挙げ、入管局に対する正確な申請と信頼の積み重ねが大切であることを行政書士の立場から強調した。


 また、社員の7割が外国人という株式会社赤原製作所の赤原宗一郎氏は、「ものごとが伝わらないのは伝える側の責任」として手間をかけ分かるまで丁寧に伝えることの重要性を説き、外国人本人の努力と企業の環境づくりの両面がマネジメントに必要だと訴えた。



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