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向学新聞2018年11月1日号記事より>


「特定技能」の創設目指す

日本人と同等の報酬確保

受入機関が生活支援

 安倍首相は10月24日、第197回国会における所信表明演説で、企業の深刻な人手不足に対応するため「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材」を受け入れる方針を表明。「出入国在留管理庁」を新たに設置し、「受け入れ企業の監督に万全を期す」と述べた。また、劣悪な労働環境に陥ることがないよう「社会の一員としてその生活環境の確保に取り組む」とともに、日本人と同等の報酬をしっかりと確保し、「世界中から優秀な人材が集まる日本を作り上げていく」とのビジョンを示した。



 受入れのため新たに創設する在留資格「特定技能」は、即戦力となる一定の技能水準・日本語能力水準を持つ外国人向けの「特定技能1号」と、同分野で熟練技能者と認められれば移行できる「特定技能2号」からなる。特定技能1号の取得は技能と日本語力の試験を受ける必要があるが、技能実習2号の修了者はそれら試験が免除される。家族の帯同は基本的に認めず、在留期間は通算5年が上限となる。技能実習から移行した場合通算で最大10年の在留が可能だ。


 特定技能1号から2号へは各業種を所管する省庁が定める試験に合格すれば移行できるが、現行の専門的・技術的分野における在留資格と同様、一定の在留期間を設け、審査を経て更新が可能となる。


 特定技能は、許可された活動の範囲内で転職が認められるほか、原則として直接雇用(分野の特性に応じて派遣形態も可能)となる。特定技能1号の受入機関または登録支援機関は外国人が安定的・円滑な活動を行うことができるよう、生活ガイダンスや日本語の習得支援、相談・苦情対応、各種行政手続の情報提供等の支援を実施する。


 受入れ分野において人材の不足が改善すれば受入れを停止または中止する。日本から強制退去となった外国人の身柄を引き取らない国からは受入れをしないことも検討している。


 新在留資格の創設に伴い、法務省が司令塔となり、外国人材との共生のための施策の検討を進めている。9月から10月にかけて3回の会合を開き、自治体からヒアリング等を行った。委員からは、「税・社会保障制度については日本の制度に加入することが大前提で、新たに入ってくる外国人についてマイナンバーなどで捕捉できるようにすることが重要」、「外国人の社会保険への加入漏れや不払を防ぐことと同様に外国人からの徴税漏れを防ぐことも重要」などの意見が出された。


 外国人に関する社会保障制度の整備を巡っては、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が10月公表した提言で、現在日本とドイツ、イギリス、韓国など18ヵ国との間で締結されている社会保障協定の締結国の早期拡大などを求めている。また、日韓社会保障協定において年金加入期間の通算規定がいまだ設けられておらず、保険料が掛け捨てとなる事態が発生している状況の改善も要望している。




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