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向学新聞2019年1月1日号記事より>


外国人との共生施策打ち出す

日本語教育機関の管理強化

特定技能の日本語試験9カ国で

 政府は12月17日、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の原案を示した。近年、中長期に在留する外国人が急増しており、2019年4月には在留資格「特定技能」が新設されて更なる増加が見込まれることから、外国人の円滑な受入れと共生のための環境整備を目指す。生活支援のほか、留学生の就職支援策も打ち出している。



 まず、相談体制の整備については、地方公共団体などで多言語対応を行う「多文化共生総合相談ワンストップセンター」の整備を支援する。「生活・就労ガイドブック」を政府横断的に作成するほか、コミュニケーションの負担を軽減する多言語音声翻訳システムのプラットフォームを構築し、官民ともに利用可能な環境を整備する。


 生活サービスの改善については、地域の基幹的な医療機関に医療通訳を配置するほか、運転免許学科試験等の多言語対応、および「110番」の多言語対応などを進める。その他、「特定技能」の外国人がすべての金融機関で口座を開設できるよう各金融機関に要請し、開設時には在留カードが本人確認書類として使えるよう明確化する。


 いっぽう、日本語教育については、日本語教師のスキルを証明する新たな資格を整備する。日本語教育機関には定期的な点検・報告を義務付けるとともに、日本語教育機関の告示基準を厳格化し、従来からある全生徒の出席率や不法残留者比率に加えて日本語能力試験の合格率にも数値基準を設ける。試験の結果は公表を義務付け、基準を満たさない場合には法務省が指導を行い、それでも基準に満たない場合は告示を抹消するといった管理強化の方針を打ち出している。


 新在留資格「特定技能1号」取得のために新設する日本語試験については、ベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジア、ネパール、モンゴルの9カ国で実施することを検討している。悪質な仲介事業者を排除するため、各国との間で政府間文書を作成する。


 また、留学生の就職支援に関しては、大卒留学生やクールジャパン分野の専門学校留学生が就職できる職種の幅を広げるための告示改正を行う。さらに、ビジネス日本語を身につける「留学生就職促進履修証明プログラム(仮称)」を大学が企業と連携して立ち上げ、文科省が認定する。認定大学には留学生の就職率の公表を要請するとともに、奨学金の優先配分を検討する。スーパーグローバル大学創生支援事業の採択大学も同プログラムに参加する。これらの支援策を通して、現在卒業生の36%にとどまっている留学生の国内就職率を50%以上に引き上げることを目指す。


 山下貴司法務大臣は総合的対応策の策定について、「京都府の人口よりも多い260万人の外国人が在留している今の日本で、外国人の方と共生していく社会を作る大きな一歩となるので、関係省庁と連携してしっかりとやっていきたい」としている。法務省は4月1日の改正入管法施行に向け、2018年内に特定技能の分野別運用方針をとりまとめるとともに、共生のための総合的対応策の正式決定を目指す。




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