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向学新聞2019年9月1日号記事より>


外国人関連施策を拡充

骨太方針2019と成長戦略を閣議決定

外国人の起業や子供の就学等促進

 政府は6月21日に開いた経済財政諮問会議・未来投資会議の合同会議で、経済財政運営と改革の基本方針2019(骨太方針)、および成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップ案を取りまとめ、臨時閣議で閣議決定した。外国人材の活躍を推進し、共生社会を実現するための新たな重点施策が盛り込まれている。



 まず特定技能については、転職が可能であることから、人材が大都市圏に集中しすぎないよう、地方での就労を促進するための対策を講ずる。在留資格変更手続での優遇を検討したり、技能評価試験の合格証明書の発行時には、外国人が過度に集中している地域の企業からは徴収する費用を引き上げる。


 高度人材の受け入れ促進については、JETROに設置した「高度外国人材活躍推進プラットフォーム」を通じて、企業と留学生に最新の情報提供を行う。そして、高い日本語力を求めない企業の事例や、留学生採用後の多様な人材育成・待遇等のベストプラクティス集を構築して横展開する。


 また、外国人の起業活動を促進する。地方公共団体が外国人の起業の準備をサポートする計画を策定し、経済産業大臣が認定。この地方公共団体から起業支援を受ける外国人起業家には、最長1年の入国・在留が認められる。現在までに福岡市、愛知県、岐阜県、神戸市、大阪市、三重県が事業の主体として認定されている。この制度の拡充については2019年度中に結論を得る。


 さらに、在留資格の申請を外国人の所属機関や、その機関から依頼を受けた行政書士等が本人に代わってWEB上で手続きできるようにする。このオンライン申請は2019年7月25日に開始されており、在留期間更新、再入国、資格外活動の許可が申請できるが、今後は更なる利便性向上のために、オンライン申請可能な手続の対象を拡大していく。


 共生社会実現に向けた施策としては、外国人、支援団体、地方自治体のワンストップ相談窓口となる「外国人共生センター(仮称)」を設置し2020年度中に運用を開始する。同センターは日本語教材の提供や対外発信などの面で、国際交流基金および国際観光振興機構と連携して運用し、各省庁・各分野ごとに分散されていた相談窓口の一元化を図る狙いがある。


 外国人共生センターは全国の『多文化共生総合相談ワンストップセンター』への支援を行い、たとえば留学生の来日時から、在学中の生活、就職と転職にいたるまでの通時的な支援を、各地方で同様に受けられるようにする。


 また、外国人の子供の就学促進、日本語指導の充実、高校生等へのキャリア教育などの包括的な支援を進めるほか、夜間中学の設置を促進し、受け入れる生徒の拡大を図る。


 これらの施策を通じて、2018年12月時点で1万5386人の高度外国人材を2022年末までに2万人へと増やすとともに、昨年12月に政府が打ち出した「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」に基づく国内の受入れ環境の整備を進めていく。




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