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向学新聞2021年10月記事より>

外国人の国内労働市場への包摂

外国人雇用対策の在り方に関する検討会中間取りまとめ

コロナ禍の影響で困窮する外国人労働者等への支援
・労働市場への包摂という観点、NPO、事業協同組合・ 企業組合などとハローワークの連携によりアウトリーチを強化。好事例やノウハウなどの展開、雇用と生活の両輪で支援を進める。
・ハローワークでの多言語での支援体制整備、求人開拓強化、マッチングの向上を図る。
留学生の国内就職促進
・大学とハローワークの連携協定の締結等、就職支援を強化し、成果を横展開する。
・就活や職場定着のための研修用モデルカリキュラムの普及を図る。
・キャリアコンサルタントの育成などキャリアアップを支援。
文化ギャップ(コミュニケーションの改善)
・職場で必要なコミュニケーション能力の見える化とそれに応じた研修、文化ギャップを克服する就業体験を促進。
・外国人労働者の職業紹介や就業環境の向上を担う専門人材の育成を検討。

各課題とその対応に関する方向性(一部抜粋)

 厚生労働省は6月28日、外国人雇用対策の在り方に関する検討会中間取りまとめを公表した。本検討会は、日本の労働市場の動向やその中における外国人の雇用の状況を確認しつつ、アフターコロナも見据えた外国人雇用の在り方と その対応策について、具体的な方向性を議論することを目的として、今年3月から6回にわたって開催された。

 取りまとめの副題に「エビデンスに基づく外国人雇用対策の立案~」と記されたように、本検討会では、国内労働市場における外国人労働者の状況について、統計データによる客観的な把握と分析が重要視され、中間とりまとめにも多くのデータが引用されている。外国人について議論・検討する場合、正確なデータに基づかなければ、偏った議論に流れてしまいやすい傾向があるからだ。

 各論では、コロナ禍による影響や対策、職場や地域での定着、国際的な人の移動からの視点、外国につながる子どものキャリア支援、文化ギャップ克服、等についての課題と対応の方向性について示された。




 特に、コロナ禍の影響を受けている外国人の状況把握や支援を検討し、外国人の幸福追求の観点の重要性も明記された点、在留資格の種類や国籍に関わらず多様な背景を持つ外国人が、労働市場への包摂を通じて日本社会に包摂されることが重要であるという認識を示した点等、画期的な内容が含まれている。

 また、外国人に係る課題を見ると、外国人が抱えやすい課題もあれば、外国人を通して日本の労働市場の課題点が浮き彫りになっている面もあることから、外国人の問題解決の側面だけでなく、日本の雇用や労働市場の質を向上させていく、重要な契機にもなると意義付けられ、「外国人雇用対策は積極的な視点をもって推進するべきである」と総論にも盛り込まれた。
 今後、具体的な施策に落とし込み、外国人労働者が活躍する環境整備がより早く着実に進められることが期待される。

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