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高等教育の資格の承認に関する世界規約

 政府は、9月6日の閣議で「高等教育の資格の承認に関する世界規約」を承諾することを決定し、13日付で受諾書をユネスコに寄託し、世界規約締結となった。この規約は、2019年第40回ユネスコ総会にて採択されたもので、高等教育の資格の承認のための包摂的な世界的枠組みを提供し、高等教育における世界的な移動等を容易にするとともに、国際協力を促進・強化することを目的としている。

 現在、世界規約とは別に6つの「地域規約」があり、日本はその中のアジア太平洋地域規約(通称「東京規約」)を2017年に締結している。東京規約は、アジア太平洋地域を主な対象として、高等教育の資格の承認を通じた学生の流動性促進に取り組んできた。東京規約に基づき、日本公式の国内情報センターとして、「高等教育資格承認情報センター」が設置されている。
 今回の世界規約が発効されることにより期待される利点としては、個々の学生にとっては、他の締約国への進学を希望する場合に、保有する学歴(学位等の資格を含む)が公正・適切に審査され、入学試験を受験する機会が確保されるといったメリット、また大学にとっては、他の締約国からの留学生の誘致の促進といったメリットがある。
 
 高等教育資格承認情報センターは今回の締結について、「コロナ禍で留学交流が大きな影響を受けているが、入口(入学)部分での志願者に対する公正・適切な資格の承認の必要性は変わらない。今回の世界規約は従来の地域規約を世界的な共通認識として取り組むという点や、世界規約を介した地域同士の連携が促される点でも前進の一つと捉えている。日本が世界規約の一員となることで、資格承認に対する関係者の共通理解が一層促され、ひいては学生にとってよりよい留学経験に結びついていくことを期待している」と話す。なお、世界規約が発効されるには20か国の締結が必要で、2022年9月現在の締約国は日本を含めて17か国となった。

 公平で適正に学歴が承認されることは、留学生はもちろんのこと、多様な経歴を持つ外国人が日本で活躍する上でも重要なポイントとなる。世界規約の発効や進展が期待される。

 



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