TOP向学新聞日本で働く元留学生たち>呉 詠心さん
向学新聞2022年10月号目次>日本で働く元留学生たち 呉 詠心さん

元留学生

向学新聞2022年7月1日号記事より>

日本で働く元留学生たち

呉 詠心さん
青森市国際交流員
2022ミスねぶたグランプリ

目標を明確に
やりたいことはやってみる

呉 詠心さん

―日本に留学したきっかけは何ですか?
 私の親が、日本が好きでよく旅行に来ていました。私も高校生のころから、旅行で何度か日本に来ていたので、身近に感じていました。高校3年生の時に、アメリカに短期留学したことで、留学もいいなと思うようになり、グローバル30のプログラムで来日しました。
 
 学生時代は、東京で過ごしました。私はディズニーランドが大好きなので、ディズニーランドに行きやすいのもあり、東京に住みたかったのです。学生時代は、台湾留学生会に入って、幹部をやり、代々木公園のお祭りの企画をしたりしました。

―日本に来てから、文化のギャップに困ることはありましたか。
 
 日本に来た当初は、あまりに日本語ができなかったので、その点は苦労しました。ただ、大学は帰国子女も多く、過ごしやすい環境だったと思います。旅行で何度か日本に来ていたので、雰囲気もわかっていました。ギャップに困ったといえば、就職活動や仕事をするようになってからですね。

―就職活動はどのようにしていましたか。
 
 就職活動で動く時期ややり方が分からなかったですね。私は、イギリスへの短期留学から戻った後の、4年生の4月から就職活動を始めました。日本の学生は3月卒業が多いですが、私の卒業は9月だったので、その点でも、動く時期が分からなかったです。9月卒業の場合は、いつ、どのようなことをすべきか、もう少し情報が欲しかったです。卒業目前の8月にやっと内定が取れました。

―最初の会社ではどのような仕事をしていましたか。

 前職は、卸の会社でしたが、外国人採用の経験がなく、昔ながらの日本の会社という雰囲気でした。2020年からコロナが流行してしまい、その影響で、私に期待されていた海外顧客対応の業務がなくなってしまい、やりたいことと違うかなと思い、転職を考えました。

―現職の求人情報はどのように見つけたのですか。また、どのような業務を担当しているのですか。

呉さん


呉さん

 確か、大使館のFacebookに載っている台湾人募集の情報が回ってきて、それがきっかけでした。ちょうど、青森市の求人を見る1か月前に、青森に遊びに行っていました。また、学生時代の翻訳アルバイトで、2、3回青森に関する記事を翻訳したこともあったので、この仕事をやってみたいと思いました。
 旅行で青森に来た時は、次にいつ来られるか分からないので、少し高いですが、弘前でおいしいフランス料理のコースを食べたりしました。青森は海鮮がおいしいですよ。

 求人に応募をして無事採用され、2021年4月から、青森市の国際交流員として働いています。異文化理解講座として、台湾の文化を紹介しています。また、青森の魅力を、台湾に向けて発信をするのが主な仕事です。

 青森の生活も慣れてきました。初めての雪にはとても感動しました。街の景色が白くなってとてもきれいで、雪を見て、私だけはしゃいで写真をたくさん撮っていました。



―「2022ミスねぶた」のグランプリに選ばれたことも話題になりましたね。
 
 そうですね。ミスねぶたの募集を見て、ねぶたの魅力を伝えることは、自分の国際交流員の仕事と重なるところもあるかなと思い応募しました。審査の場では、1分のPRや質問が出され、とても緊張しました。ほかの候補者の方もしっかりしていたので、まさかグランプリをいただけるとは思いませんでしたが、選んでもらえてとてもありがたく感じました。

青森ねぶた
青森ねぶた (写真提供:青森観光コンベンション協会)

 今年のねぶたは、3年ぶりの開催で8月2日(火)から7日(日)の期間開催されました。ミスねぶたの活動では、事前にねぶたについて学んだり研修を受けて、祭りの期間中はパレードを先導したり、PR活動をしました。ねぶたの作り手は、1年かけて構想を練って、5月からねぶた小屋というところで、2か月かけて作り上げます。
 

 初めて参加したねぶた祭りは、本当に素晴らしかったです。小さな子供から大人まで、たくさんの人が参加して、皆それぞれの役割があり、祭りの成功に向けて一体となって頑張る雰囲気にとても感動しました。


―暗い中に浮かび上がる迫力あるねぶたや、お囃子の音が体に響いて、参加する人も見る人も、元気をもらえる気がしますね。呉さんは今回はミスねぶたとして活動しましたが、次はどのような役割を担当してみたいですか。

 私は、全部やれたらかっこいいと思うタイプなので、初日はお客さんとして参加して、後の日は全部違う役割をやってみたいですね。ハネト、囃子、ねぶたの作り手もやってみたいです!


―後輩たちへはどのようなことを伝えたいですか。

  私が感じたことは、日本へ旅行で来るのと、日本に住んで日本社会の一員として働いてみるのでは全く違うということです。母国とのギャップに直面することがあります。日本が好きであこがれて日本に来ても、自分の目的や目標が明確でないと、目の前の文化のギャップで苦労したり大変さにくじけて、日本を嫌いになって帰国してしまうことになりかねません。そのような人を何人も見ました。「異文化の中で交流して、視野を広げたい」のであれば、同じ国の人同士だけで過ごしていては目的が果たせません。目標が明確だと、自分がどのように行動すべきかが決まってきます。様々なギャップというのは、どの国にも、母国の中でもあることです。ギャップに直面した時に、自分がどのような態度で臨み、どうのように乗り越えていくかがとても大事だと感じています。

 また、やりたいことはやってみるのが大事だと思います。日本にいる期間は、長いかもしれないし短いかもしれません。同じ機会は、もう二度とないかもしれません。積極的に旅行や様々な体験で、経験を積むことをおすすめします。

―今後はどのような目標がありますか。

 SNSなどで、台湾に向けて、まだよく知られていない青森や日本の地方の良いところを発信していきたいと考えています。転職の時は今すべきなのかを悩みましたが、今はよい決断だったと思っています。これからも、やりたいことをやれるうちに、積極的にチャレンジしたいと思います。

a:201 t:2 y:0