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向学新聞2023年7月号目次>日本で働くグローバル人材 レー スアン トゥイさん、ボ コン ハンさん、レイレイウーさん(タケウチ建設)

元留学生

向学新聞2023年7月1日号記事より>

日本で働くグローバル人材

社員の約半分が外国籍社員で、オンリーワン技術で社会に貢献するタケウチ建設。今回は、同社で活躍する3名の外国籍社員と、人事担当者の井上さんにお話を伺った。

レー スアン トゥイさん
レー スアン トゥイさん
ベトナム出身
ホーチミン市工科大学建設工学部専攻卒業

ボ コン ハン さん
ボ コン ハン さん
ベトナム出身
ハノイ土木大学建設工学部専攻卒

レイレイウー さん
レイレイウー さん
ミャンマー出身
ヤンゴン大学修士課程卒、アークアカデミー日本語学校、東京工業大学大学院博士課程修了、
前職で約7年勤務後2016年から現職

――みなさんは、なぜ日本で働こうと思ったのですか。''''

(トゥイ)私はホーチミン工科大学で建設工学についての勉強をしていました。日本は、世界的な先進的技術や革新的な産業があり、様々な分野で日本企業はリーダーシップを発揮しているので、技術者を目指していた私は、いつか日本で働いてみたいという想いがありました。

そんな時に、当社の竹内社長と会う縁がありました。自分が論文で書いていた地盤に関するTNF工法という素晴らしい技術があり、それを世界に広めたいという社長のビジョンを知り、この会社で働いてみたいと思いました。自分が高い技術を学んで、ベトナムに持って帰れたら良いなと考えたからです。日本で5 6年間、現場や施工全体の管理の経験を積み、今はベトナム拠点でを全体管理及び技術開発しながらベトナム事業を準備しています。

(ハン)私が最初に日本に興味を持ったのは、子どもの時にテレビでみた日本のアニメがきっかけでした。ドラえもん、コナン、ナルトなどがすごく面白くてワクワクしながら観ていました。

実際に日本で働こうと思った理由は、ハノイ土木大学で勉強している時に、日本企業で働くことができる教育プログラムに参加して、そこでタケウチ建設に出会ったからです。そのプログラムには、ベトナム人技術者を採用したい様々な会社が参加していましたが、タケウチ建設は技術の特許をたくさん持っていたのがすごくインパクトがあり、この会社で働きたいと思いました。



(レイレイ)私もテレビで「おしん」のドラマを見て、日本人は勤勉でまじめな印象を受けて興味がわきました。また、ミャンマーでは、米のご飯を食べて育ったので、欧米よりもアジアの国の方がなじみやすいかなと思ったからです。

私は留学生として来日し、博士課程まで勉強しました。修了後は、せっかく日本に留学したので、もっと日本人や日本社会と接点をもったり、日本語を上達させたいと思い日本で働こうと考えました。

あいまいな表現
――日本で働いて感じる大変なところはどのようなところですか。

(トゥイ)一番大変だと感じたのは、日本語でのコミュニケーションですね。日本では英語はあまり通じないので、生活も仕事も日本語が大事です。また、勉強した日本語と実際に使う日本語は違います。しかも、私は建設現場の担当で、様々な地域に行きましたが、地域によって使う方言も違って、理解するのにとても苦労しました。特に建設現場では、指示を間違えて理解すると、危険なことにつながるので、本当に怖いです。だからこそ、早く日本語を上達させたいと、周りの日本人の話し方をよく観察したりまねたり、分からなければすぐに確認して、日本語力アップに努めました。

また、私は他に日本人社員2名と一緒に入社しましたが、彼らよりも自分は子供っぽいと感じました。ベトナムでは、アルバイトをしたことがなく、勉強だけをしてきたので、バイト経験がある日本人社員よりも、社会人としての立ち振る舞いが日本人社員よりもできていないと感じました。

(ハン)私も日本語を上達させるのに苦労しましたが、もう一つ大変だと感じたことは、日本人の考え方を理解することです。日本人は婉曲的な表現をしますね。ベトナム人は、遊びに誘われても行きたくない場合は行きたくないといいますが、日本人は相手を傷つけないような断り方をします。そのような考え方を理解するのにだいぶ時間がかかりました。

(レイレイ)日本人のあいまいな表現はビジネスの面でも難しいなと感じることがあります。取引先の方が「検討します」という時に、それはどういう意味なのか、前向きな意味なのか、そうでないのか。ダメならダメと言ってほしいな、と。日本人独特の、相手を想いやっての表現ですが、留学生や外国籍社員には分かりづらいですね。当社の場合は、社長も常務も、はっきりと話をするタイプなので、社内でのコミュニケーションは比較的クリアで分かりやすいです。仕事で初めて来日した社員でも、その点ではコミュニケーションしやすい環境になっていると感じます。

会社や社会に貢献し自分の成長を実感

――仕事で感じるやりがいはどのようなところですか。

(トゥイ)日本で働くことは、自分の成長のスピードを早めてくれたと実感しています。実は、入社して最初の3年くらいは、いつもベトナムに帰りたいと思っていました。それでも続けていくうちに、全国の出張で訪れた場所で、日本人の友達ができました。友達から、方言や地域の文化を教えてもらったことがとても嬉しかったです。

タケウチ建設
竹内社長の喜寿のお祝い(最前列右から5人目が竹内社長)
提供:株式会社タケウチ建設

北海道から沖縄まで色んな地域に行きました。日本人にも様々なタイプの人がいて、ベトナム人に近いと感じる人もいました。心を通わせられる友達ができたことは本当に良かったです。

日本で働くことは、最先端の技術やイノベーションに携わり、技術発展に貢献できることが技術者としてはやりがいがあります。また、高い品質基準の製品やサービスを提供する方法があるので、それを身に付けられる点、他にも、継続的な学習と成長を重視するため、自分の成長やキャリア発展も期待できる点が、日本で働く魅力だと感じます。

また、社内にも様々な国籍・経歴を持ったメンバーがいて、一緒に仕事をできることも成長できる環境だと感じます。当社は若くても自分の意見や考えをしっかり出す社風です。会社の体制が、マネジャーと非マネジャーの2つの構成なので、直接社長に報告する機会もあります。まだ入社間もない時に、技術開発について、社長と直接話して、自分の開発したことを社長に伝える機会はとても貴重に感じました。

(ハン)私も自分の視野が広がって成長が実感できるところが嬉しいです。私は、研究開発を担当していますが、社長が、開発した技術は日本だけでなく世界に広げたいという考えなので、世界に発表することも大切にしています。
私は技術について分かりやすくまとめて表現することが苦手でしたが、論文発表のために外部の方からの指導していただきながら、表現力や説明力が上がりました。去年は、オランダで論文発表をしましたし今年はベトナムハノイ、来年はリスボンにも行く予定です。発表することはプレッシャーももちろんありますが、自分たちの技術をより広く世界に発信する機会は、とても良い体験だし、会社にとって大事な取り組みに自分が携われることはとてもやりがいを感じます。

(レイレイ)私は、現在は管理部で社員の福利厚生の検討や採用活動、海外子会社の事にも広く携わっています。大学時代の専門とはまったく違う業務で、最初はこの仕事を選んで正解だったのだろうかと、自分の選択に自信が持てなかった時期もありました。しかし、博士課程での論文や研究で身に付けた考え方や視点が、今の仕事にも活かされていると実感しています。提案書を作成する際には、提案のベースとなる考えやデータ・情報を揃えて、提案の根拠や効果などと合わせて提案します。自分の提案が承認されて、会社の仕組みとして取り入れられた時は、とても嬉しくやりがいを感じます。

自分の目標と情熱を

――日本で働きたいと考えている後輩たちに、どのようなことを伝えてたいですか。

(トゥイ)自分自身の目標を決めて、パッションを追求することが大事です。仕事に興味と情熱をもって取り組み、学んで成長しようとすることが大切だと感じます。また、チームワークとコミュニケーションがうまくできると、より楽しくなり、効率も上がります。日系企業大事にするキーワードに「改善」がありますが、自分自身も改善されるしくみに対応できるように、柔軟性をもって、ストップしないでレベルアップして会社を応援できるようにすると良いと思います。

(ハン)まず、何のために日本企業で仕事をしたいか、しっかり考えた方が良いです。なぜかというと、自分自身が目指す目標がなければ、目の前の大変さばかりが見えて、途中で諦めて辞めてしまいます。私の友達にもそういう人がたくさんいました。難しい状況になると、「今の環境が自分には合わない」「思ったよりも大変だ」と感じて、すぐに仕事を辞めてしまうのです。入社後1、2年目は困ることや大変なことは誰にでもあります。そこを乗り越えられるかは、その先の目標をしっかり持っているかどうかだと思います。

勉強のため、成長のため、お金のため、何でもいいので、自分なりの目標を立ててください。また、目標も小さく分けた方が良いですね。毎年、毎月でもいいと思います。それを一つ一つ達成することが自信にもなります。
 
もう一つは、目標が決まったら、まずは縁のあった企業で働き始めてみることです。日本企業は、文化や日本語の壁など大変な面もありますが、人材育成や研修を丁寧にやってくれる良い面もあるので、安心できる環境の企業が多いです。

(レイレイ)私が就職活動をした15年前よりも、留学生を採用する企業が増えて、チャンスは増えているので、せっかく日本に留学したのであれば、日本で就職して働いてみてほしいです。学生生活では見えてこない日本の良さや文化の差、また自分の足りなかったところが見えてきます。数年後母国に帰るにしても、とても良い経験になります。また、入社が決まったら、前向きに、コミュニケーション能力を上げながら、頑張ってたらいて下さい。就職して終わりではなくて、必要な資格や情報収集をしながら、もっと活躍できる自分に慣れるよう、教えてもらったことだけをするのではなくて、自ら積極的に学ぼうとする姿勢があると、楽しくやりがいを感じられると思います。

日本人人事担当者から見た外国籍社員の活躍

(井上)海外出身の社員の力によって、当社の技術レベルは各段に上がったと実感しています。例えばですが、建築土木系の分野ではベトナムの大学の方が、BIMを大学でしっかり教えていたり、日本の教育よりも進んでいる面があります。また、慣れ親しんだ母国以外の国で働きたい、と考える方は総じてレベルが高く優秀で、勉強熱心です。そのような海外出身社員の採用受け入れを進めながら、どのような国出身の社員でも働きやすい環境にするため、会社として仕組みの見直しと環境整備には力を入れてきました。その事が会社として成長する契機となっています。

海外出身社員のみなさんのレベルが高いので、私たち日本人も良い刺激を受けることがたくさんあります。特に資格取得の面では昨年、当社のベトナム出身社員が「1級建築士」に合格しました。本人の努力の賜物であり、その姿は私たちにも良い影響を与えてくれました。後輩社員たちも、「あの先輩のようになりたい」と勉強を続けています。今後も当社では、様々な国出身のメンバーそれぞれが、働きがいのあるHappyな会社であり続けるよう成長を続けていきます。

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