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向学新聞2024年10月号目次>外国人の子供の就学 実態は把握や支援に課題
<向学新聞2024年10月号記事より>
外国人の子供の就学 実態は把握や支援に課題
部科学省は8月8日、「令和5年度外国人の子供の就学状況等調査」の結果を公表した。学齢相当の外国人の子供の人数は、15万0695人で、前回調査から1万3772人(10・1%)増加した。そのうち、不就学の可能性があると考えられる外国人の子供は8601人だった。
「就学ガイドブックなどの資料の活用」について、「行っていない」(82・3%)が多く、「就学状況の把握や就学促進のための取り組み」でも、「電話での個別確認」(30・3%)「就学案内の継続送付」(29・4%)等が前年度よりも増加したが、依然として「特に実施していない」(48・5%)が最多だった。また、「就学状況把握できず」が7199人(全体の4・8%)と多く、実態把握にも課題がある。
文科省は同日、「日本語指導が必要な児童生徒の受入れ状況等に関する調査」の結果も公表した。公立小・中・高等学校などにおいて、日本語指導が必要な児童生徒数は増加傾向で、6万9123名となり、10年で約2倍となった。日本語能力が、その後の進学率や高校中退率、就職における非正規就職率に影響する傾向がある。
日本では、外国人の子供には就学義務がない。しかし、国際人権規約等を踏まえ、彼らが公立の義務教育諸学校への就学を希望する場合は、日本人の子供と同等に教育を受ける機会を保障している。外国人が働く国を選ぶ上でも、子供の就学環境は、重要な位置づけとなっている。
外国人の子供に関する支援拡充の施策は多数実施され、文科省の令和7年度予算案でも、関連事業予算がいずれも増額されている。しかしいずれの施策もようやくスタート地点に立った段階であり、人員が不足しがちな教育現場において、ふさわしい支援が行き届く体制整備が急がれる。
向学新聞2024年10月号目次>外国人の子供の就学 実態は把握や支援に課題
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