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崔 光 氏 
(流通経済大学 経済学部 教授) 


世界に誇れる日本人の心  留学政策は支持者増を主眼に

――外国人にとっての日本の魅力とは。
 国の魅力とはその国民一人ひとりの人間性の魅力です。私は韓国の大学に在学中に北海道大学との交流プログラムで来日し、大いに歓迎を受け、それまで日本に対して持っていたイメージが変わりました。日本には、ボランティアと思わず外国人を徹底的に支援してくれる人が特に年配の方に多いです。日本人の心は繊細でまじめで、それは世界に誇っても良いと思います。日本製品が世界で認められたのもその心ゆえで、単に企業の力だけではありません。しかし今の日本の若者は、相手を見計らって礼儀正しく付き合えるけれども興味の範囲が狭く、魅力に欠ける面があります。企業でも若者をどう人間形成していくか課題になっており、「これ以上はいくら給料をもらってもやらない」という人が増えています。世界ではこういう人は通用しません。他者への配慮ができない人は信頼を失い排除されてしまいます。

 家庭でも、親への配慮がなくなってきています。親子の断絶を解消しなければ日本的な良い伝統は受け継がれていきません。アイデンティティが失われてきたといってそれが何か考えているような国は多くはないでしょう。しかしそこまでアイデンティティを意識しているのになぜか外国のことを意識しすぎています。周りからどう見られているかばかり気にして正しいと思うことを実践していません。もっと日本人としてのよさ、生き方、正しいと思うことを実践しながら教えていけば、自然にアイデンティティは見いだせるのです。魅力のある人や国は確固たるアイデンティティをもっているものです。

 なぜ留学生が30万人必要なのでしょうか。留学生の国籍は偏っており、一つの国に集中して拡大することは良いとはいえません。むしろ受け入れ数が少なくても、その人たちが懸け橋になって将来を切り開いていけるように教育の質的向上を図る政策が必要です。アジアの未来、地球の未来を自分の課題ととらえ、アジアがこれからどう発展すべきか考える。互いを認め合い尊重し合いながら一つの目的に向かって協調しあう、広い視野を持てるような教育のコンテンツを用意し、志の大きい人を見つけて育てていくような取り組みが必要でしょう。数字でなく質なのです。

 政策的には既に十分です。必要なのはアイデンティティを確立できるような方向性でのグローバル化です。日本のグローバル企業が活躍しているのはアイデンティティを持っているからで、それに対する支持者が増えたということです。留学生政策も支持者を増やすことを主眼にし、例えば母国にいながら支持者になれるよう現地に多くの教育機関を作って日本のよさを伝え、2年を現地で、2年を日本で過ごすようなプログラムを作るといった積極的な動きが必要ではないでしょうか。


チェ クァン
1964年生まれ。韓国ソウル出身。延世大学卒、北海道大学大学院経済学研究科後期博士課程修了。流通経済大学経済学部専任講師、同助教授を経て現職。専門は組織論、戦略論、Eビジネス論。


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