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歳暮(せいぼ)   

一年を締めくくる贈り物 品物に日頃の感謝をこめる

 お歳暮とは、年の暮れ12月中旬~下旬に、日ごろお世話になっている人に物を贈る行為やその品物のことだ。元々は新年に年神様へ供える物品を年の暮れに本家や家元に持っていく行事だった。年神様は、元旦の「初日の出」と共に地上にやってきて、その年の作物の豊穣や家族の幸せを約束してくれると言われている。
 
 一方で、7月初旬~中旬にも同様に物を贈る慣習があり、これはお中元と呼ばれている。お歳暮は一年の締めくくりであるため、お中元よりも重視される傾向にあるようだ。どちらか一方を贈る場合はお歳暮にしたり、両方とも贈る場合はお中元よりもお歳暮のほうを値段のやや高いものにするのが一般的だ。
 
 お歳暮は両親、親類、会社の上司などに送ることが多い。この人には必ず贈らなければいけないという決まりはなく、身近な人に感謝の気持ちを伝える機会としてお歳暮を贈る傾向がある。贈る品物は、食料品が多く、年末年始にちょうど合う海産物やハムなどの食肉加工品、日本酒などが定番だ。11月に入るとデパートや総合スーパーなどではお歳暮コーナーを設け、特産品など工夫を凝らした商品が陳列されているのを目にするはずだ。 
 
 贈り方は、風呂敷に包んで持参するのが正式なマナーだが、近年は贈る相手が遠方だったり互いに忙しいといった理由から、宅配便で送るケースが多い。日頃お世話になっているお礼をするため、長寿を表す飾り物の「のし」と魂を結びとめるという意味がこめられた水引(紐)が贈り物の包装に使われるようになった。日ごろの感謝をこめて相手に喜ばれる品物を贈って、互いに良い新年を迎えられるように願う真心がお歳暮の基本で、気持ちが詰まった思いやりの表現であるからこそ価値があるといえよう。




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