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(こい)のぼり  

子供の成長を願い空を舞う

こいのぼり HP
(ワタナベ鯉のぼり株式会社提供)

 鯉のぼりとは、「子供が元気に育ってほしい」という願いを込めて、鯉に見立てた吹流し(布などで出来た筒)を使った「のぼり」(日本の旗の形式の一つ)を飾る行事だ。男の赤ちゃんが生まれて初めて迎える5月5日(端午の節句)をお祝いするためのものだ。 
 
 端午の節句とは、奈良時代から続く年中行事で、季節の変わり目として病気や災厄をさけるための薬草摘みなどが行われていた。武家社会に移行するにつれて、尚武(武道を重んじること)の節日として祝うようになり、やがて徳川幕府の重要な式日として定められた。武家たちは男の子が生まれると、5月5日にのぼりなどを立てていたが、町人たちがそれに対抗して鯉のぼりを飾るようになったという。
 
 鯉を飾るのは「鯉が竜門という滝を登って竜となった」という中国の故事に由来がある。その故事から立身出生(立派な地位や名声を得ること)の関門を意味する「登竜門」という言葉が生まれ、鯉の滝登りが立身出生の象徴となった。登竜門の故事を鯉のぼりという形で表現する発想は、日本人独特の感性で他国では見られない。
 
 今日では各地で鯉のぼりのイベントが催されている。東京タワーでは高さ333メートルにちなんだ333匹の鯉のぼり、埼玉県加須市では世界一の100メートルジャンボ鯉のぼりが掲げられ、端午の節句には、子供達の成長を願い日本中で鯉が大空を舞っている。



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