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カイロ(かいろ)  

鉄の酸化を利用して発熱
12月1日は「カイロの日」

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 冬になると欠かせない使い捨て「カイロ」。袋から取り出して振るだけで、段々と温かくなる不思議な保温具だ。
 
 なぜ袋から取り出すと温かくなるのか。その秘密は鉄の特性にある。鉄が空気に触れて酸化すると錆びて、その際熱が発生する。その法則を利用し、カイロには鉄粉と錆びの速度を速める塩などが入っているのだ。
 「温かさを携帯する」カイロは日本独特の保温具で、江戸時代に石を温めて懐に入れた「温石」がルーツだと言われている。今日使われている使い捨てカイロは、1950~53年頃の朝鮮戦争時、厳しい寒さをしのぐために米兵が使っていた保温具を改良したものだ。彼らは、水筒のような容器に鉄の粉と食塩を入れて発熱させていた。
 
 1978年に、袋から出して振ると温かくなるタイプのカイロが商品化され、急激に普及していった。カイロは人々の生活に欠かせないものになり、1991年には日本カイロ工業によって、需用が高くなる12月1日が「カイロの日」に制定された。
 
 世界のカイロ市場も日本企業が牽引し、小林製薬株式会社は世界トップ企業として約20カ国・地域でカイロを販売している。 
 2000年代初頭の中国では、使い捨てカイロがほとんど普及していなかった。小林製薬が2003年にカイロを中国で販売すると、今やシェアNO.1のトップブランドまで上り詰めた。北米では、スポーツ観戦やアウトドアでのレジャー時にカイロを使用することが多く、ニーズに合わせた販売網を拡大してきた。今年の冬も、日本のカイロが世界の人々の懐を温めるだろう。

 




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