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キアーラ・バニャスコさん (イタリア出身) 
(近畿大学総合理工学研究科 理学専攻 博士後期課程) 


日本の美的感覚は魅力的
交流の中でこそ新しい発見


――来日の経緯は?
 母国で日本語を5年間学んだ後、今年4月に来日しました。イタリアでは今若者の間で日本文化への関心が高く、漫画が流行していますが、私の場合子供のころからなぜか日本文化や日本語に興味を持っていました。日本のアニメ作品の雰囲気や、昔の絵画の美的感覚が私にとっては大変魅力的だったのです。イタリアの美術館で(葛飾)北斎の浮世絵を見て感動しました。シンプルでありながら細かいところにも配慮が行き届いています。

――母国にないものがあるのですか。
 イタリアの文化と似ている部分と、全く似ていない部分があるからこそ興味がわくのだと思います。昔建てられた日本のお寺や神社などにも興味を持っていますが、イタリアも日本も過去の文化遺産を重んじてきちんと後世に残している点は共通する美徳だと思います。両国とも観光資源が豊かですが、テクノロジーの面では、レオナルド・ダ・ビンチの時代には優れていたイタリアも今では後れを取っています。

――将来の目標は。
 量子コンピュータについて研究していますが、博士学位を取得後は帰国し、日本で学んだ経験を活かして、日本の大学とイタリアの大学のコラボレーションを生み出したいです。サイエンスワークショップなどを主催し、両国科学者チームが共同研究を行うためのコーディネートができればと考えています。物理学は世界共通であり、交流の中でこそ新しい発見がありますので、もっと学術的な国際交流の機会が必要です。特に量子コンピュータの分野は30年もたっていない新しい学問ですので、私が貢献できる未開拓の分野が残されていると思います。様々な人から学んで吸収し知識を広げていきたいです。

 今所属している研究室には私のほかに中国とイランからの博士研究員や留学生がいます。大学以外でも友人を作る機会はありますので、もっと出会いの機会をもって将来のネットワークにつなげたいです。日本の友人がイタリアを訪ねたときには、ぜひ案内してあらゆる質問に答えたいと思います。交流を深めて視野が広がれば仕事にも大いに役立ちます。異なる側面から物事を見ることでヒントを発見し、全く想像もできなかった解決の糸口が見出せるかもしれません。



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