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Dejudom Kiatpanachartさん (タイ出身) 
(東京工業大学) 


CO2・NOxの削減技術を研究
母国で環境問題を啓発したい

――研究内容について教えてください。
 石炭燃焼、特に火力発電所などの排気ガス中のNOxをいかに減らすかについて学んでいます。あまりCO2を出さない燃焼方法で、かつNOxも同時に減らす効果を実現しようというものです。この分野では日本の技術は世界でトップです。そしてCO2も地下や海洋に埋める技術があり、この二つを組み合わせると理論上ではかなり大気に排出するCO2が減らせます。
 大学に入って最初は専攻を決めていませんでしたが、さまざまな授業を聞いてこの分野に興味を持ち、今一番注目されている地球環境とエネルギーに関する研究室に決めたのです。
 チャンスがあれば卒業後に研究内容を生かした仕事に就きたいです。しかし研究だけではなく、タイでも日本でも、環境に対する「考え方」に周囲の人が関心を持てるようにしたいです。たとえば会話するときに「CO2を削減できるこんなことがある」と軽くわかりやすく話すのです。文系の人でもわかるようにするためには、技術だけではなく社会的な知識も必要です。技術を深く研究している人ほど、その技術を理解してもらうための説明をしない傾向がありますが、知らない方にこそ説明しなければなりません。研究だけでは足りないと感じています。
――CO2削減には一般の方の理解が大事ですね。タイの人々の環境意識はいかがですか。
 まだまだです。技術者から「こうすれば大丈夫」という話を聞くだけでは、環境についての意識が生まれません。ですから帰国後には一般の人でも簡単にわかるように環境問題について話していきたいのです。
――今後の目標は。
 まずは大学院をターゲットに一歩一歩確実に進み、卒業後は日本で就職したいです。その後母国に帰ってから就職して何をするかはまだわかりません。ただ、たとえ技術はすぐに活かせなくても、日本で経験し身につけた「ものの考え方」は十分に活かせると思うのです。



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