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福島 エリ オデット (ボリビア出身) 
(横浜市立大学大学院 日本財団日系スカラーシップ留学生会 会長) 


日系人の子弟に希望を  留学生会で支援活動

――日本財団日系スカラーシップ留学生会とは。
 日系人留学生を対象に2004年に設立された「日系スカラーシップ」の奨学生による留学生会で、リーダー精神の涵養と社会貢献を目指しています。自由に意見交換のできるネットワークを構築し、様々なプロジェクトを展開しています。
 一つには、ボランティアで小中学校での出前授業を行っています。ブラジル人・ペルー人の出稼ぎ労働者の子弟が多い静岡や群馬の学校に年に3~4回行って、勉強の大切さや、留学生の専門分野や、大学に入るには何をすればいいのか話しています。

――今在住日系人の諸問題がクローズアップされています。
 子供が日本の小中学校に行って日本語しかできなくなり、親子のコミュニケーションがとれない家族もいます。これは深刻な問題です。留学生会では、日本語教育を支援する「NPO中学・高校生の日本語支援を考える会」の翻訳プロジェクトに関わっています。中学や高校の受験で出てくる問題や質問をまとめた本を、私たちがポルトガル語やスペイン語に訳しています。
 また、2009年の経済的に厳しかった時に、出稼ぎの子供たちに何か希望を持たせてあげようと「私のメリーとは(私の幸せとは)」というテーマで絵画コンテストを企画し、出前授業を行った学校などから900枚の絵が集まりました。その絵画展をJICA横浜の博物館で行いました。
 あと、年に一回、海外在住の日系人が集まる大会が日本でありますが、そのユース会議の一つを私たち留学生会が企画しています。これを通して元留学生が「日系ユースネットワーク」という団体を作り、今年からユースサミットを始め、欧米やアジアから日系人が来てくれて新しい国際ネットワークが開かれています。

――在住日系人の問題も、知られるきっかけになるかもしれません。
 出稼ぎ日系人の子供で日本で教育を受けた人が留学生会にいるので、セミナーを開き自分の経験を話してもらいました。聴衆の方々はほとんど日本人で、アンケートをみると「こういう問題について初めて知った」「聞けて良かった」という意見が多かったです。知らないことが一番の問題だと思います。

――発信が必要です。
 こういった問題も日本の社会に起こっていることを知ってもらえば、少しずつ解決できると思っています。その際に日系人は、日本とさまざまな国との掛け橋として、大事な役割を果たすことができると信じています。



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